71回 B問題 問64
難易度:易
- 通常上部気道疾患に継発する。
- 吸気時の陰圧増加が病態を進行させる。
- 反回神経麻痺が主な原因である。
- ステージ 1 で認められる変化は喉頭小囊の外反(反転)である。
- 進行例では永久気管瘻が適応となる。
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆☆☆
通常上部気道疾患に継発する。
重要度:☆☆☆
吸気時の陰圧増加が病態を進行させる。
重要度:☆☆☆
反回神経麻痺が主な原因ではない。
反回神経麻痺によって生じるので「喉頭麻痺」、さらに片側性です。シンプルですよね。
喉頭麻痺は進行性の疾患であるため、外科的介入が必要で「片側披裂軟骨側方化術」が一般的な術式です。
重要度:☆☆
ステージ 1 で認められる変化は喉頭小囊の外反(反転)である。
重要度:☆☆
進行例では永久気管瘻が適応となる。
永久気管切開ともいいますね。そら、努力呼吸をしますし、喉頭は気管に比べて複雑な構造をしているのでステントも入れられません。
なので気管を切開して、そこで呼吸をしてもらう算段です。ネコの場合は、気管切開したあとの予後が悪いみたいなので、もっぱら犬で行われます。
解説
喉頭虚脱とは?
上気道の閉塞が長い間続き、過剰な陰圧がかかることにより「披裂軟骨」が不可逆的に変形し、最終的には呼吸困難に陥る病気です。
つまりは、短頭種気道症候群(軟口蓋過長、外鼻孔狭窄)に起因する二次的な「喉頭虚脱」が大半を占めているため、好発犬種もそれに準じています。
短頭種気道症候群に関する問題はこちらから。
一般的に、喉頭の狭窄は柔らかい組織どうしで生じるため「ガーガー」というような低い音が吸気時に聞こえます。一方で、気管は硬い組織なので、「気管虚脱」では高調な高い音が呼気時に出ます。
喉頭の解剖学を理解しよう!
喉頭虚脱は、喉頭の軟骨が変形し気道を閉塞します。
治療法は?
犬は特に、体の熱を逃がすために呼吸回数が増える(パンティング)生き物です。
呼吸困難な状況では息を吐き出しにくいので、体に熱を逃しにくくなります。それにより体温が上昇してきます。
残念ながら、体温が上昇するとパンティングを持続させ更に体温が上がることになります。そのため予防方法として興奮・緊張・暑い場所をできるだけ避けることだけで臨床症状の軽減ができます。また対処療法としても体を冷やすことも重要です。
緊急で体温を下げるために行うこと。
結論:以下の2つがあります。
よくやる間違いとして「脇や股に保冷剤を入れる」があります。これを行ってしまうと末梢の血管が収縮してしまい、熱放散が却って抑制されてしまうという最悪のデメリットがあります。
漠然とやっていしまいガチな対処法なので注意してください!
また、持続的な上気道の閉塞は粘液の貯留が生じてくるため、粘液溶解剤のネブライザー療法で呼吸が楽になります。
外科的な介入は、背景にある短頭種気道症候群に準じた方法(外鼻孔狭窄整復・軟口蓋切除術・喉頭小嚢切除法)で上気道の閉塞を解除すること、また「喉頭麻痺」の外科的治療法である片側披裂軟骨側方化術で初期のステージは改善します。
一方で、喉頭虚脱が重度の場合は「永久気管切開」が選択肢に入ってきます。
咽喉頭の虚脱による「陰圧性肺水腫」が生じる場合も考えられるため、命を脅かす疾患ですね。
今回の「喉頭虚脱」に似た「喉頭麻痺」があります。注意してください。