71回 B問題 問65
難易度:易
犬の潜在精巣に関する記述として適切なのはどれか。
- 腫瘍化する可能性が高い。
- 大部分の症例で雌性化が認められる。
- 出生直後に精巣下降が認められなければ潜在精巣と判断する。
- 診断には直腸検査が有効である。
- 片側性の場合にも両側の精巣を摘出することが勧められる。
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆☆☆
腫瘍化する可能性が高い。
セルトリ細胞腫の半数以上は、潜在精巣からの発生と言われています。
重要度:☆☆☆
大部分の症例で雌性化が認められる。
セルトリ細胞腫では、エストロジェン過剰により「雌性化」が認められるケースがあります。「潜在精巣の大部分で」となると、過大解釈な気がしますが、、、
セルトリ細胞腫は、多量のエストロジェンが産生されることも有名です。このエストロジェンは、造血におけるいちばん重要な幹細胞を殺してしまいます。そのため汎”血球”減少症が生じるんですね。。。
どうしてメスはエストロジェンをコントロールできるのに、オスは無理なの?
結論:おそらくフィードバックシステムをオスは持たないからだと思います。メスは、多量のエストロジェンが分泌されてもフィードバックにより抑制がかかりますが、オスはそのシステムを持たず、ずっとエストロジェンが出っぱなしになっているのではないでしょうか?
重要度:☆☆☆
出生直後に精巣下降が認められなければ潜在精巣と判断する。
犬・猫の精巣下降は、出生後に始まります。
一方で、牛に関しては出生後に精巣下降が認められないのは、明らかな異常です。
重要度:☆☆☆
診断には超音波検査が有効である。
重要度:☆☆☆
片側性の場合にも両側の精巣を摘出することが勧められる。
潜在精巣の他にも「去勢手術」により予防できる疾患があります。こちらの問題で演習してください。
小動物臨床では割と頻繁に出会う疾患なので、絶対に覚えたほうが良いです。