【ウイルス学】これだけ知ってれば国試無双できるんじゃね?!

【科目別】総まとめ

ウイルス学 総論

ウイルスってどうやって増えるの?

一段階増殖曲線は、培養細胞に人工的に高濃度のウイルス液を摂取し、経時的に細胞内・細胞培養液中のウイルス量を測定して得られる「1つの細胞中で起きている増殖曲線の1サイクル」を曲線にしたものです。

ウイルスは、細胞に吸着・侵入・脱核等を起こすため培地中や細胞内から徐々に検出できなくなります。

そして細胞中から検出されない期間である「暗黒期」に突入します。細胞中でウイルスが完成すると人工的に細胞を壊すことにより検出できるため、このタイミングが暗黒期の終了を意味します。

一方、ウイルスが細胞を破壊せず細胞外に出ていない場合、培養液中(細胞の外)からは検出できません。この培養液中から検出できない期間を「成熟期」といいます。

そして暗黒期と成熟期までの期間を合わせて「潜伏期」と言います。ウイルスが細胞外に出たタイミングで潜伏期が終了します。

細胞膜表面で成熟して放出されるウイルス(インフルエンザウイルス)は、細胞内に滞在せずに細胞外に放出されるため成熟期をもたず「暗黒期=潜伏期」となります。

ウイルスの大きさはどのくらいなのか?

上の画像では、花粉がとてつもなく大きいですが、花粉でさえも、1mmの3/100程度のサイズです。ウイルスは、それの1/300なので驚愕の小ささであることがわかりますね。

ウイルス粒子の大小は何で決まるのか?

ウイルス粒子の大きさを問われたら考えるべきことは、たった3つです。

  • DNAウイルス or RNAウイルス ?
  • DNAウイルスなら、エンベロープがあるか?
  • RNAウイルスなら、マイナス鎖かどうか?

DNAウイルスに関してはエンベロープを持っているウイルスのウイルス粒子は大きく、持っていないウイルスは小さいです。

一方で、
RNAウイルスはマイナス鎖をもつウイルス粒子は大きい傾向があります。

DNAウイルス

DNAウイルスをできるだけ覚えやすくするために、特徴を以下に上げます。

Ⅰ・複合体カプシドをもつのは?

DNAウイルス唯一の「複合体カプシド」を持つのは、「ポックスウイルス」です。この部分さえ覚えてしまえば一般的な「直鎖状二本鎖」のDNAウイルスとなります。

Ⅱ・DNAウイルスは基本「2本鎖」

「DNA」の構造を考えていただければ分かるようにDNAは2本鎖が一般的です。しかし例外が存在します。

それが「パルボ」「サーコ」ウイルスです。

Ⅲ・腫瘍原性ウイルス

DNAウイルスウイルスにおける腫瘍原性ウイルスは、以下の4種類です。

  • ヘパドナウイルス
  • ヘルペスウイルス
  • アデノウイルス
  • パピローマウイルス
  • ポリオーマウイルス

DNAウイルス 各論

こちらの記事からご覧ください。

RNAウイルス

次は、RNAウイルスをできるだけ覚えやすくするためのポイントはあるのでしょうか?

Ⅰ・RNAウイルスは基本「1本鎖」

RNAにはたくさんの種類がありますよね。

例えば、
mRNA(メッセンジャーRNA)
tRNA(トランスファーRNA)
rRNA(リボソームRNA)

これらの機能に関しては、別の記事で説明するとして
RNAの共通点(DNAとの違い)とし「一本鎖」であるといえます。

これは「RNAウイルス」でも同じ。RNAウイルスは基本的に「一本鎖」です。

例外はたった2つ!

その例外となるウイルスは「レオウイルス」「ビルナウイルス」です。

上記2つのウイルスは「二本鎖RNAウイルス」として有名です。
さらに、その構造は「分節型」をしています。

国家試験の問題では、消去法が役に立つ場合があります。
選択肢中にこのウイルスがあったら、選択肢を絞れる可能性があるので必ず覚えてください!

Ⅱ・一本鎖にはプラス鎖とマイナス鎖がある。

プラス鎖を持つウイルス

プラス鎖を持つウイルスは、「ゲノム自体(プラス鎖RNA)がmRNA」として機能します。自身のゲノムだけでなく酵素群、構造タンパク質も同時に作れる点で優秀ですよね。

マイナス鎖を持つウイルス

マイナス鎖をもつウイルスは、自身の体を作るためのmRNA自身のゲノムを作るための一時的なプラス鎖RNA(鋳型)を合成して、やっと新しい子ウイルスが出てきます。

ラブホのフロ、ボルト折って 、プニプニにアレンジ

  • 「ラブホ」→ラブド
  • 「フロ」→フィロ
  • 「ボルト」→ボルナ
  • 「折って」→オルトミクソ。付随的にパラミクソも。
  • 「プニプニ」→ブニヤ
  • 「アレンジ」→アレナ

Ⅲ・腫瘍原性ウイルス

RNAウイルスに関しては「レトロウイルス」だけ必ず覚えてください。

Ⅳ・分節ウイルス

以下の遺伝子再集合にかかわります。

  • レオウイルス
  • ビルナウイルス
  • オルトミクソウイルス
  • ブニヤウイルス目

Ⅴ・遺伝子再集合という害悪メカニズム

新型インフルエンザウイルスが出現!!的なニュースを、いままで何回聞いたことでしょう。どうしてそんなことが可能なのでしょうか?

インフルエンザウイルスは「オルトミクソウイルス」に分類されており、「遺伝子再集合」というメカニズムを用いて、次から次へと新型を生み出すことができます。

遺伝子再集合というのは、「同属のウイルスが同一の細胞に共感染した際に、RNA分節がお互いに入り混じること」を言います。

もし2種類A型インフルエンザウイルスが共感染した場合を考えてみましょう。

A型インフルエンザウイルスは8文節に分かれていますから、確率的に28(256)通りもの異なる新たなA型インフルエンザウイルスが生み出されるのです。。。

普通にやばいね、、、

【–】

1

次の文を読み、70-D55、D56 に答えよ。
〔図〕は複数の同種ウイルスが一つの細胞に感染して起こるウイルス変異体の出現を模式化したものである。
【70-d-55】このウイルス変異の様式名はどれか。
【70-d-56】
このような変異様式を起こすウイルスを原因とする感染症はどれか。
  1. 挿入変異
  2. 中和回避変異
  3. 干渉性欠損変異
  4. 分子内遺伝子組換え
  5. 遺伝子再集合

5

  1. 豚水胞病
  2. ブルータング
  3. 馬インフルエンザ
  4. 悪性カタル熱
  5. 豚流行性下痢症

3( b , c )が正解です。

RNAウイルス 各論

めちゃくちゃ長くなるので、こちらの記事からご覧ください。

参考

獣医微生物学第4版 見上 彪 監修 文永堂出版

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