犬の消化管間質腫瘍に関する記述として適当なのはどれか。

過去問

73回 A問題 問8

難易度:並

犬の消化管間質腫瘍に関する記述として適当なのはどれか。
  1. 消化管内腔に向かってポリープ状に増殖する。
  2. カハール介在細胞またはその幹細胞(未分化細胞)が起源とされている。
  3. 腫瘍細胞は KIT(CD117)を発現する。
  4. 良性腫瘍である。
  5. 腫瘍細胞は免疫組織化学的にサイトケラチンに陽性を示す。

選択肢を吟味しよう!

消化管間質腫瘍は通称:GISTと呼ばれる腫瘍です。僕の中で、忘れられない腫瘍です。重要なポイントはすべて選択肢に含まれている良問なので、繰り返し解くことをおすすめします。

重要度:☆☆
消化管外側に向かってポリープ状に増殖する。

この腫瘍は外側に向かって肥厚していくため、消化器症状を示しにくいのが厄介な特徴です。

普段から超音波検査で腫瘍の有無は調べておいたほうが良いなぁと考えさせられる腫瘍です。

重要度:☆☆☆
カハール介在細胞またはその幹細胞(未分化細胞)が起源とされている。

カハール介在細胞は、いわば「消化管運動のペースメーカー」としての役割があります。心臓でいう洞房結節みたいなもんですな。

重要度:☆☆
腫瘍細胞は KIT(CD117)を発現する。

KIT遺伝子を持つ腫瘍 まとめ

  • 消化管間質腫瘍(GIST)
  • 肥満細胞腫

この遺伝子を抑制する薬剤が「トセラニブ(製品名:パラディア)」です。高価ですが、錠剤で生存期間が伸びる可能性があると考えると重宝する薬剤です。

重要度:☆☆☆
性腫瘍である。

回盲部に多い腫瘍です。

重要度:☆☆
腫瘍細胞は免疫組織化学的にビメンチンに陽性を示す。

細胞内骨格である細胞内中間フィラメントを用いて腫瘍の由来を決定する方法です。

  • 上皮系腫瘍 ー サイトケラチン
  • 間質腫瘍  ー ビメンチン
  • 筋肉系腫瘍 ー デスミン
  • 神経系腫瘍 ー ニューロフィラメント

僕が一回体験した症例は、消化管が破裂して腹膜炎も起こっている状態でした。さらに回盲部で発生した腫瘍が十二指腸を巻き込んでいたんです。手術により大半の腸を切り取る必要があるため、未消化の食塊(ほぼ食べたもの)がそのまま出るリスクがあるという、なんとも辛い状況でした。

絶対に忘れない経験になりました。