73回 A問題 問59
難易度:並
解説
重要度:☆☆
猫への寄生例がある。
正解です。
よく使われる猫の駆虫薬(商品名:ブロードライン)は、
フィラリアの駆虫も同時にしてくれるため非常に便利です。
重要度:☆☆
プレパテントピリオドは 7~8 か月間である。
プレパテントピリオドとは、感染してから卵を排出するまでにかかる期間です。
ここでは、ミクロフィラリアを生むまでということになりますかね?
重要度:☆
成虫の寿命は約5年である。
知らないでしょ。こんな知識。。。
まぁせっかくなので、糸状虫の寿命は5年だと頭の片隅にでも。。。
重要度:☆☆☆
ベクター体内の第三期幼虫が終宿主に感染する。
この選択肢を選んではいけません。
重要度:☆☆☆
成虫の主要な寄生部位は右心室である。
この選択肢を選んではいけません。
詳細と周辺知識
僕ら小動物獣医師が用いるフィラリアの駆虫薬はフィラリアの成虫になる前の幼虫
(第一期幼虫(ミクロフィラリア)・第3期幼虫・第4期幼虫)を殺すための薬物です。
第二期が抜けているのは、
蚊の体内での発育過程だからです。
大まかに、蚊の吸血によって体内に入ってきた
第三期幼虫が第5期幼虫(駆虫できない可能性)になるまでに50日程度かかります。
フィラリアの駆虫薬が月に一回の投与なのは、
幼虫が成長して成虫になる前に駆除したいから!ということになりますね。
とはいえ、蚊がいない時期は感染リスクが低いですから、
投薬させる必要は無いですが、、、
昨今の温暖化にともなった蚊の北上による思わぬフィラリアの感染があるかもしれません。
第三期幼虫の感染後、
ミクロフィラリアを産生するまでに6ヶ月〜7ヶ月(約半年)以上かかる。
フィラリアの成虫がいる段階で駆虫してしまうと、その成虫によって生まれたミクロフィラリアが駆虫薬によって一気に死滅し、生体に影響が出てきてしまいますよね。。。それだけは避けたい!!!
そのため、蚊の出るシーズンになると一回フィラリアの抗原検査を行い、成虫がいないことを確認した後投薬します。これがフィラリア駆虫薬を使う上でのルールルルです。
最後に補足ですが、
糸状虫はボルバキア菌(Wolbachia pipientis)という細菌と共生関係にあります。
マジで面白いのは、このボルバキア菌が糸状虫の生殖機能を制御しているようで、ボルバキア菌が殺菌・除菌されることで糸状虫の繁殖を抑制することができることです。
すごくね!!!
最近の糸状虫の予防・治療のプロトコルの中に、テトラサイクリン系抗生物質(ドキシサイクリン)の使用が標準化されました。うぇい!