Ca代謝に関する記述として正しいのはどれか。

過去問

72回 A問題 問20

難易度:易

Ca代謝に関する記述として正しいのはどれか。
  1. 体内の Ca の 90% 以上は血漿に存在する。
  2. カルシトニンは尿への Ca2+ の排泄を促進する。
  3. 上皮小体ホルモンは破骨細胞の骨吸収を阻害する。
  4. 活性型ビタミンD は腸管からの Ca2+ の吸収を抑制する。
  5. Ca2+ の腎臓での再吸収量は遠位尿細管が最も多い。

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
体内の Ca の 90% 以上はに存在する。

骨=カルシウムの鉱山 なので、そこから切り崩して血中にカルシウムを供給します。

重要度:☆☆☆
カルシトニンは尿への Ca2+ の排泄を促進する。

カルシトニンは「甲状腺の”傍”濾胞細胞」から分泌され、血中カルシウム濃度を低下させるように働きます。骨では「破骨細胞の」働きを抑制しカルシウム供給を停止させます。腎臓ならば、排泄が亢進します。

高齢になるとカルシトニン分泌が低下するため、骨が脆くなっていきます。骨粗鬆症が高齢の疾患であるのは納得です。

重要度:☆☆☆
上皮小体ホルモンは破骨細胞の骨吸収を促進する

上皮小体ホルモン=パラソルモン(PTH)ですね。
パラソルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させます。

骨ならば、骨吸収。
腸管ならば、吸収促進。
腎臓ならば、カルシウムは再吸収されます。

重要度:☆☆☆
活性型ビタミンD は腸管からの Ca2+ の吸収を促進する

腎臓がビタミンDを活性化します。

慢性腎臓病で、活性化能が落ちるとカルシウム濃度が低下してきます。
それに反応して上皮小体が活性化、二次性の「上皮小体機能亢進症」になるケースがありますよね。

重要度:☆☆
Ca2+ の腎臓での再吸収量は近位尿細管が最も多い。

腎臓での再吸収は、近位尿細管で行われています。

慢性腎臓病 vs 二次性上皮小体機能亢進症
Ca(カルシウム)とP(リン)の挙動ってどうなるの?

結論:慢性腎臓病では「P↑&Ca↓」、二次性上皮小体機能亢進症では「P↑&Ca↑」となります。少し複雑なので以下に説明します。

いずれの電解質も腎臓のGFRに依存しているため、慢性腎臓病に伴うGFR低下により両者は上昇します。持続的なP(リン)の上昇は「パラソルモン」の分泌を減少させ結果的にでは「P↑&Ca↓」となります。そこに上皮小体の機能の亢進によりパラソルモンの分泌が過剰になるとCa(カルシウム)が上昇し「P↑&Ca↑」となります。