みつばちの衛生管理として正しいのはどれか。

良問

71回 B問題 問37

難易度:並

みつばちの衛生管理として正しいのはどれか。
  1. 都道府県を越えた移出には都道府県知事の許可が必要である。
  2. 海外からの輸入で検疫対象になっていない。
  3. 腐蛆病の発生時には薬剤により殺処分する。
  4. 我が国で抗菌薬の予防的投与は禁止されている。
  5. ノゼマ病は OIE のリスト疾病として国際的な監視対象になっている。

解説

重要度:☆☆
都道府県を越えた移出には都道府県知事の許可が必要である。

正解です。

「みつばちについての腐蛆病まん延防止に関する規則」にて、
県外への移出だけでなく、県内への移入も禁止されています。

移入・移出する場合には、事前の腐蛆病の検査が必要です。

重要度:☆☆
海外からの輸入で検疫対象になってい

重要度:☆☆
腐蛆病の発生時には焼却により殺処分する。

重要度:☆☆
我が国で抗菌薬の予防的投与は禁止されていない

重要度:☆☆
ノゼマ病は OIE のリスト疾病として国際的な監視対象になっていない

詳細と周辺知識

みつばちの病気は、何がある?

最も重要なのは、家畜伝染病予防法に規定されている法定伝染病の「腐蛆病」です。

腐蛆病はそれぞれ異なる細菌によって
「アメリカ腐蛆病」と「ヨーロッパ腐蛆病」の2つに分類されます。

届出伝染病では

「アカリンダニ病」
「チョーク病」
「バロア病」
「ノゼマ病」があります。

蜂の家畜伝染病でまず重要なのは「すべての病気が国内発生している」点です。
これを覚えた上で書く病気の特徴を抑えましょう!

腐蛆病

巣箱をあけて「異臭がする!」と思ったら、腐蛆病を疑います。
法定伝染病の腐蛆病には2種類の病気が含まれています。

ポイントは、「原因菌」「腐蛆の状態」「匂い」が特に重要ですが他にも鑑別点はあります。

アメリカ腐蛆病

原因菌:Paenibacillus larvae

異臭は、膠臭・納豆臭と表現されますが超臭いで有名です。服についたら取れない程の強烈な匂いらしいですね。納豆というワードから想像できるように、トロ〜っとした腐蛆を確認できます。

また、それが次第に乾燥した「スケイル」には多量の芽胞が含まれ、巣房に固着し新たな蜂児への感染源になることも余裕があったら覚えて欲しい。

ヨーロッパ腐蛆病に比べれば、ずっとやばい病気だなぁと思います。

ヨーロッパ腐蛆病

原因菌::Melissococcus plutonius

アメリカ腐蛆病とは異なり、腐蛆の状態に粘稠性はないのがポイントです。アメリカ腐蛆病が強烈過ぎて霞みますね笑。

アメリカ腐蛆病ヨーロッパ腐蛆病
原因菌Paenibacillus larvaeMelissococcus plutonius
菌の特徴芽胞菌レンサ球菌
時期蓋かけ後の幼虫蓋かけ前の幼虫
腐蛆の状態粘稠性あり粘稠性なし
異臭膠臭・納豆臭酸臭

チョーク病

真菌による蜂児の感染症です。

ポイントは、「ミイラ化した蜂児(白・黒色)」「巣付近に散在」している所見・写真が重要です。治療薬はないですが、症状は一過性をたどり群の崩壊は起こらないと言われています。

ノゼマ病

原虫による成蜂の感染症です。

蜂の消化管に寄生するため「下痢症状」が重要で、さらにその下痢による巣が汚れる所見も重要です。ポイントは「うんこ」です!なんか原虫っぽいですよね。

治療薬はないし、原虫である点からも清浄は難しいですから、衛生管理が重要になります。

バロア病

ミツバチヘギイタダニによる蜂児・成蜂の感染症です。

ポイントは、「羽の変形」「発育不良」です。
このダニは蜂の巣房に入って増殖するため、蛹に感染すると発育不良・矮小化、最悪の場合は羽化不全に死にます。もちろん成蜂に感染しても、発育不良は起きます。

羽の変形に関しては、ウイルスの関与があるようです。

ヘギイタダニは雄の蜂が好きなため働き蜂に蔓延すると、群の壊滅もありうるという酷いダニです。

アカリンダニ症

アカリンダニによる成蜂の感染症です。

アカリンダニは、一生を気管内で暮らします。ポイントは「羽の変形」です。変形により羽を折り畳めなくなるため「K字状」に見えるようです。