ノミ・マダニ駆虫薬(マニア向け)

まとめ

ポイント

小動物臨床の現場に出ると、たくさんの会社から様々な駆虫薬が出されています。犬・猫でも異なるし、何に対して有効なのかも異なります。

と、いうわけで、、、

僕なりの、各種駆虫薬のポイントをまとめました。実際、学生には全く活用されないと思いますが、僕のリマインド用ということで。。。

ネクスガード 犬のみ

ノミ・マダニの駆虫薬です。有効成分は「アフォキソラネル」になってます。

ネクスガードスペクトラ

ネクスガードに「ミルベマイシンオキシム」を配合し、フィラリア幼虫・消化管内部寄生虫にも対応した駆虫薬です。

フロントライン 犬・猫

ノミ・マダニの駆虫薬です。有効成分は「フィプロニル」になっています。コレは、滴下タイプです。チュアブルタイプの駆虫薬を食べてくれない場合に便利ですね。

犬用・猫用 それぞれあります。

フロントラインスプレー

有効成分は「フィプロニル」で、ノミ・マダニが大量にいた場合に用います。

生後2日齢から使用できるので、野良猫の赤ちゃんに対しても使える点が良いですなぁ。野良猫保護しました!!!って来院される方って結構多いんです。

フロントラインプラス

フロントラインに「(S)-メトプレン」が配合されています。メトプレンは幼若ホルモン類似薬なので昆虫の変態を抑制するため、寄生虫のノミの駆虫だけでなく、卵の孵化・発育まで防げる薬になっています。

消化管内部寄生虫に対する効果は持っていないので、注意してください。

ブロードライン 猫のみ

ブロードラインは猫用フロントラインプラスに「プラジカンテル」と「エプリノメクチン」を配合して、特に内部寄生虫に対しても強化された「オールインワン」の駆虫薬になっています。

この駆虫薬のポイントは、「条虫」に対しても有効である点です。「瓜実条虫」「猫条虫」はよく見ます。

マンソン裂頭条虫も糞便検査で見つかることが多いです。

裂頭条虫は条虫のなかでも駆虫が大変なので、ブロードライン単剤での駆虫はほぼできないと考えています。

そのため、「ドロンシット」という薬を用いてプラジカンテルの容量を調整してます。(プラジカンテル30mg/kg を一回投与)

レボリューション 犬・猫

ノミに対するスポット型駆虫薬です。有効成分はマクロライド系駆虫薬である「セラメクチン」となっています。

この駆虫薬の最大のポイントは「ミミヒゼンダニ」に有効である点です。犬用・猫用があります。

ミミヒゼンダニを飼っている猫って本当に多いんですよねぇ。。。

おまけ程度に考えていますが、「フィラリア」や「回虫」にも有効です。消化管内部寄生虫に対して用いるならば下記に示す「レボリューションプラス」が良いと考えています。

レボリューションプラス 猫のみ

レボリューションに「サロラネル(1mg/kg )」が配合された薬です。これにより、ノミだけでなくマダニにも、回虫だけでなく鉤虫にも対応しています。

レボリューションの弱点を補強した猫用のオールインワンといった感じです。

シンパリカ 犬のみ

有効成分「サロラネル(2mg/kg)」の犬用ノミ・マダニに対するチュアブル型駆虫薬です。

ポイントは、「ミミヒゼンダニ」だけでなく「センコウヒゼンダニ」「イヌニキビダニ」に対する駆虫薬としても有効です。

「センコウヒゼンダニ」「イヌニキビダニ」にも有効(添付文書には書いてない)だと報告されている「ブラベクト」という駆虫薬があります。

有効成分は「フルララネル」でポイントは3ヶ月有効なノミ・マダニ駆虫薬です。

シンパリカトリオ

シンパリカに「モキシデクチン」「ピランテル」が配合され、内部寄生虫に対しても駆虫できます。

「犬鞭虫」には効果が無い可能性があるので注意してください。

クレデリオ 犬のみ

有効成分「ロチラネル」による、ノミ・マダニのチュアブル型駆虫薬です。

クレデリオプラス

クレデリオに「ミルベマイシンオキシム」が配合された外部寄生虫・内部寄生虫にも効く駆虫薬です。


ジアルジアがいた!!!そんなときは、、、


ファバンテルを15mg/kg SID3〜5間連続投与で有効と言われています。し、実際これで確かに落ちています。

日本では、「ドロンタールプラス」というフェバンテル150mg」「プラジカンテル50mg」「ピランテル144mg」の3種合剤が使えます。

メトロニダゾール(商品名:フラジール)を15mg/kg SID 5〜7間の連続投与でも有効ですが、フラジールってめちゃくちゃ苦いみたいなので僕は使いません。

コクシジウムがいた!!!そんなときは、


トルトラズリル(商品名:プロコックス)を用います。

犬で0.5mL/kg (トルトラズリルとして9mg/kg)を単回投与。

猫で1.0mL/kg (トルトラズリルとして20mg/kg)をおおよそ3日投与します。犬猫で異なるのがポイントですね。投与後の糞便検査でチェックは欠かせませんね。

最後に

画像にまとめました。参考までに。。。