吸虫は、寄生虫の中で得点源なので覚えるべき分野です。
条虫に関しては、こちら。
線虫に関しては、こちらをご覧ください。
原虫に関してはこちらから。
吸虫の解剖
まずは基本的な吸虫の体の特徴から説明します。
雌雄が一緒になっている!
吸虫は「雌雄同体」といって、雄性生殖器と雌性生殖器の両方をもっています。これは、たった一匹で増殖できるわけではなく、どっちがオス(あるいはメス)でも交配が可能ということです。
例外は「日本住血吸虫」です。
虫卵の特徴を覚えよう!
ポイント① 小蓋がある
吸虫の虫卵には、「小蓋」があります。そこがパカッと開いて、ミラシジウムが出てくるわけですね。
例外は「日本住血吸虫」です。
吸虫卵には”小蓋”があります!
例外として「日本住血吸虫」がいます。
ポイント② めっちゃ重い
吸虫自体大きいので、それに応じて虫卵も大きく重いです。
よって沈殿集卵法を用いて検出します。
沈殿集卵法には「MGL法」「AMSⅢ法」がありますね。
せっかく検査法の話題に触れたので、吸虫の検出法で他に重要なのを紹介します。
日本住血吸虫の「ミラシジウム遊出試験」という検出法です。
要するに吸虫の検出法で覚えるべきなのは、
「沈殿集卵法」と日本住血吸虫の「ミラシジウム遊出試験」ということになります!
ポイント③ 内容物が異なる!
排出された卵内容に関しては、2つに分類されます。
①すでにミラシジウムが形成されている
②卵細胞と卵黄細胞からなるもの
今日、壺の底噛んで廃棄
- 今日 → 棘口吸虫
- 壺 → 壺型吸虫
- 底 → 双口吸虫
- 噛んで → 肝蛭
- 廃棄 → 肺吸虫
それ以外の吸虫が、ミラシジウムを形成した卵で排出されます。
成虫は吸盤でくっついている!
この吸盤を使って、終宿主の消化管にくっついて栄養を供給しています。
基本的に吸虫は、消化管が盲端になっているので排泄孔に直接繋がっていません。なぜなのでしょうか?、、、
ちなみに排泄に係る、排泄細胞を’焔細胞”といいます。
吸虫の発育環
吸虫はこのように成長する!
吸虫の発育過程は、以下のようになっています。この発育過程は必ず覚えて下さい。
「スポロシスト」「レジア」「セルカリア」は中間宿主内で成長します。中間宿主は下記まとめに載ってます。
中には「スポロシスト期2回でレジア期がない」吸虫・「レジア期2回」の吸虫も存在していて、かなり複雑です。一応まとめておきます。
レジア期がない
レジア期2回
- ミラシジウムは終宿主へ経皮的に侵入する。
- スポロシストはミラシジウムが発育したものである。
- レジアはスポロシスト内に形成される。
- セルカリアには尾部が備わっている。
- メタセルカリアはセルカリアが被嚢したものである。
1
終宿主への感染様式は?
一般的に終宿主へはメタセルカリアの経口摂取により感染しますが、日本住血吸虫では”岐尾”セルカリア”が泳いで終宿主に経皮感染します。
以下が、生活環のまとめです。
肝蛭 双口吸虫 | 肺吸虫 | 日本住血吸虫 | 膵蛭 槍型吸虫 肝吸虫 横川吸虫 壺型吸虫 | |
---|---|---|---|---|
排出形態 | 卵・卵黄細胞 形成卵 | ミラシジウム形成卵 | ||
第一中間宿主への 感染形態 | ミラシジウム | ミラシジウム | 卵 | |
第一中間宿主体内 | スポロシスト レジア | ミラシジウム スポロシスト レジア | ||
第二中間宿主への 感染形態 | セルカリア が植物に付着 | セルカリア | − | セルカリア |
終宿主への感染形態 | メタセルカリア | メタセルカリア | 岐尾セルカリア | 捕食 |
吸虫をボコボコするためには?
吸虫を駆除には「プラジカンテル」が効きます。このプラジカンテルは条虫駆除にも使える重要な薬剤なので覚えるべきでしょう!
他に「肝蛭」に使用される「ビチオノール」「トリクラベンダゾール」が国家試験で問われました。
でもまぁ肝蛭だけでなく、他の吸虫・条虫にも効くらしいですね、、、
吸虫の駆虫には「プラジカンテル」!
特に肝蛭には「ビチオノール」「トリクラベンダゾール」が有効!
このまとめは絶対に覚えよう!
第1 中間宿主 | 第2 中間宿主 | 終宿主 | 終宿主の 寄生部位 | |
---|---|---|---|---|
肝蛭 | ヒメモノアラガイ | なし | 大動物 | 胆管 |
平腹双口吸虫 | ヒラマキミズマイマイ | なし | ウシ | 盲腸 |
日本住血吸虫 | ミヤイリガイ | なし | 大動物 | 門脈 |
膵吸虫 | オナジマイマイ (陸生) | ササキリ | 大動物 | 膵管 |
槍型吸虫 | ヤマホタルガイ (陸生) | アリ | 大動物 | 胆管 |
壺型吸虫 | ヒラマキガイ | カエル・ヘビ (待機宿主) | ネコ | 小腸 |
棘口吸虫 | モノアラガイ | 魚類(ドジョウ) 両生類(カエル) | イヌ | 小腸 |
横川吸虫 | カワニナ | 魚類(アユ) | 小動物 | 小腸 |
肝吸虫 | マメタニシ | 魚類(コイ) | 小動物 | 胆管 |
ウェステルマン 肺吸虫 | カワニナ | モクズガニ ザリガニ | 小動物 | 肺 |
吸虫は中間宿主を2つもちます!
例外として「肝蛭」「双口吸虫」「日本住血吸虫」がいます。
第一中間宿主は「水生巻貝」!
特に「膵蛭」「槍型吸虫」は陸生の巻貝!
どうでも良いけど、カタツムリとマイマイの違いは、「通称」と「学名」なんだってさ。個別の種類を表すときは、〜マイマイらしいですよ。
中間宿主問題
- 色素試験
- ラテックス凝集反応
- 卵周囲沈降反応
- ゲル内沈降反応
- サーレス現象
3
猫、雑種、雌、3 歳齢。慢性の咳を主訴に来院。〔図-A〕は胸部 X 線側方像で、糞便検査により〔図-B〕が認められた。
【72-d-27】最も疑われる疾患はどれか。
【72-d-28】本症例に対する対応として適切なのはどれか。
- 猫回虫症
- マンソン裂頭条虫症
- 日本住血吸虫症
- 肺吸虫症
- トキソプラズマ症
4
- 生魚の摂食の有無を確認する。
- プラジクアンテルで駆虫する。
- 室内で飼育するよう飼い主に指導する。
- 投薬 1 週間後に抗体検査により駆虫の効果を判定する。
- 飼い主自身に医療機関の受診を勧める。
3( b , c )が正解です。