膜透過と吸収:A
薬物動態学において最も重要なのは薬物の「血漿中濃度」であり、
経口投与、皮下投与、筋肉投与(静脈投与以外)での「吸収」がその第一関門になります。
経口投与であれば 小腸粘膜の細胞 から「吸収」され 肝臓 の「初回通過効果」を受けた後に、皮下・筋肉投与であれば 真皮 や 筋肉組織 から「吸収」され循環血中へ到達します。
いずれであれ、薬は 細胞膜 を通過して血液中に到達します。
このとき薬の性状や特性によって「単純〈受動〉拡散」「担体輸送」など、さまざまな輸送形態で 細胞膜 を通過することになります。

静脈内投与は、「吸収」をスキップしているんだね!
「単純〈受動〉拡散」「担体輸送」「酸解離指数〈pKa〉」に関しては、以下の記事でまとめています。
分布:D
無事に血管内に移行したされた薬剤は、全身の組織に「分布」していきます。
濾過
薬が血管から「間質」に移行するためには、毛細血管の細孔を通る必要があります。
このように毛細血管の細孔を通じて薬物が血漿から間質液へ移動する過程を「濾過」といいます。
毛細血管の細孔は4nm ほどで、
アルブミンなどの血漿タンパク質(例:アルブミン)に結合している薬物は、サイズが大きいため細孔を通過できず、「濾過」されません。
血漿タンパク質結合率
上記のように血漿タンパク質と結合した薬物は「濾過」されないので、「血漿タンパク質結合率」が高いと組織への分布量と速度が共に低下します。
このような場合では、
薬の血中濃度は高いにもかかわらず、薬理作用が現れるまでに時間がかかります。

血漿タンパク質との結合は 可逆的 だよ!
同じ薬であっても「結合率」は動物によって変化しますし、一つの血漿タンパク質に複数の薬剤が結合することもあります。
たとえば「ワルファリン」は血漿タンパク質との結合が強いため、併用された薬剤は結合率が低下します。結果として、併用した薬剤が早く間質に進んだり予期せぬ副作用が生じる可能性があるってことです。
蓄積
脂溶性物質は、体内の脂肪細胞に「蓄積」することが分かっています。「蓄積」された薬物が、血液への再び移行するのには時間がかかるため体内からの薬の消失も遅くなります。

太っている個体より、脂溶性物質の蓄積が多いとされているよ!
再分布
血流量の多い組織(肝臓・腎臓)は、少ない組織(筋肉)と比較して薬の移行がスムーズになります。
そのため血液量の多い組織に1回分布した薬が再び血液に乗って血液量が少ない組織に分布することもあり、この現象を「再分布」といいます。
代謝:M
組織に吸収・分布される薬は脂溶性が高いためそのままでは、ずっと組織に残ったままになります。
体内では、脂溶性の高い薬物を「代謝」して水溶性に変化させることで容易に尿中に捨てることができます。
多くの脂溶性物質の代謝ステップは2段階に分けられており、「第Ⅰ相反応」によって官能基を付与して、「第Ⅱ相反応」によって本格的に水に溶けるように変形させています。
薬物を代謝するための酵素(薬物代謝酵素)は、全身のいたる細胞に存在していますが 特に肝臓 の「滑面小胞体」に多く存在しています。

肝臓は解毒作用のある器官だもんね!
代謝のメカニズム
第Ⅰ相 反応
「第Ⅰ相反応」は「酸化」「還元」「加水分解」によって官能基(水酸基 -OH 、カルボキシル基 -COOHなど)を増し、その後の「第Ⅱ相反応」を受けやすくしています。
「酸化」に関わる重要な薬物代謝酵素の1つが「シトクロームP450(CYP)」になります。
「酸化」反応では、薬は酸素や水と反応して「水酸基 -OH」が付与されます。アルコールの場合は、酸化によって「アルデヒド基 -CHO」や「カルボキシル基 -COOH」が付与されますね。
エステル結合やアミド結合をもつ薬物は「加水分解」反応によって「水酸基 -OH」を獲得します。

加水分解酵素として有名な「コリンエステラーゼ(ChE)」は、プロドラックの代謝にも関与している重要な酵素なんだよ!
第Ⅱ相 反応
「第Ⅱ相反応」は転移酵素によって薬物の水溶性が一段と増す「抱合」が起こります。
さまざまな抱合
ミクロソーム分画の代謝酵素 ゴロ・覚え方
ミクロソーム分画の代謝酵素 ゴロ・覚え方
”クロ”を含む
抱合種差 ゴロ・覚え方
抱合種差 ゴロ・覚え方
流れるブタ、焦るイヌ、グレる黒ネコ
グルクロン酸転移酵素と、
グルタチオン転移酵素で迷う方が多くいます!「黒ネコ」と覚えよう!
ミクロソームと非ミクロソーム酵素系
「ミクロソーム」とは細胞を破砕して遠心分離した時に得られる分画の名称ですが、いわゆる小胞体を意味しています。
要するに「ミクロソーム系」の酵素は「滑面小胞体」の内部に存在する酵素で、反対に「非ミクロソーム系」酵素は、それ以外の場所に存在する酵素をいいます。
代謝酵素誘導と阻害
代謝酵素の代表格である「シトクロムP450」は1種類だけではなく、それぞれ性質の異なる「ファミリー」をつくり、またさらに細分化された「アイソザイム」に分けられます。
薬によっては、特異的に「シトクロムP450」を誘導したり、阻害したりする場合があります。

誘導ってのは、簡単に言うと酵素が増えることだよ!
例えば「フェノバルビタール」は「シトクロムP450」を誘導して、併用した他の薬物の代謝を促進することが分かっています。代謝が促進されると、期待した効果を得られません。
またアゾール系の抗菌薬である「イトラコナゾール」は特異的にCYP3A4を阻害し、そのアイソザイムによって代謝されるべき他の薬物の代謝が遅れます。
この場合は必要以上に薬物の作用が起こる可能性が示唆されます。

上記の薬は一般的だよね!
現場ではそれによる副作用は経験がないけど、知識として持っておくと対処が容易だよね!
解毒と代謝的活性化
一般的に「代謝」によって
薬理作用を失い(解毒)、水溶性となって体内から排除されます。
一方で「代謝」によって、活性化して、組織に悪影響を示す場合も知られています。これを「代謝的活性化」と呼ばれています。
「プロドラック」は意図的に不活性型が投与され、
「代謝」によって活性化して望まれる薬理作用をもつ薬物をいいます。
排泄:E
薬の消失との関与もありますが、
薬は最終的に「01:尿中」or「02:便中」に排出されます。
上述のように 水溶性 薬物は代謝されることなく、速やかに「尿中排泄」されます。
一方で 脂溶性 薬物 はそのまま「尿中排泄」されるケースと、代謝の過程で胆汁中に排出され便中に排出されるケースの2パターンの排泄があります。
胆汁中へ排泄された代謝物は「腸肝循環」によって再吸収されるため、実際に便中として排泄される量は少なくなります。

「腸肝循環」を繰り返して、ゆっくり「代謝」されて「消失」していくんだね!
尿中排泄
腎臓排泄をもっとミクロで考えると、「排泄:E」に関与しているのは、「糸球体」と「尿細管」が考えられます。
どちらも構成しているのは細胞と管腔構造なので、血管腔 → 間質 or 細胞に移行する「濾過」や「吸収:A」の考え方が必要になりますよね。
尿中排泄に関わるポイント
「タンパク質結合率」が高い場合は、血中から間質への「濾過」ができないように、当然 血中から糸球体腔への「(糸球体)濾過」も出来ません。
腎臓への血流量が増すと糸球体の濾過量が増えるため「排泄:E」されるスピードは早くなります。
脂溶性の薬物の場合は、「尿細管」で「再吸収」されてしまい、結局肝臓にもどって「代謝:M」によって消失することになります。
「有機 酸 輸送体」「有機 塩基 輸送体」「P糖タンパク質」によって、尿細管中に分泌されるものがあります。

上記の輸送体は結合特異性は低いみたいだから、薬物の「尿中排泄」を促す重要な要素だね!
乳汁移行
薬物が周囲の環境によって、「イオン型(解離型)」と「分子型(”非”解離型)」のように形を変えることは上述のとおりです。
「乳汁」は間質液よりも塩基性(アルカリ性)なので、酸性薬物に比べて塩基性薬物の方が乳汁へ移行しやすいことになります。
消失
薬が体内から「消失」は
上述の薬物代謝酵素による「代謝:M」や「排泄:E」によって生じます。
一般に 水溶性 の薬物は、肝細胞へ受動輸送が不可能で「代謝:M」されないため、「排泄:E」によって「消失」することになります。
一方で脂溶性の薬物は、「腎臓」へ到達しても尿細管から再吸収されるため、上述の通り「肝臓」にて「代謝」されることで「消失」していきます。
消失に関与する要素
消失に関与する要素 2つ
例えば、「タンパク質結合率」が高い場合は、「濾過」されないため「代謝」もされず、「消失」に時間がかかります。また、酵素の働きが促進する「酵素誘導」の場合は「消失」にかかる時間が短くなります。
薬物動態
薬物動態の基本的な流れは、
上述の「吸収A」→「分布D」→「代謝M」→「排泄E」になります。
このADME すべての過程が「血管」を介して行われていることを考えると、薬の「血漿中濃度(血液内濃度)」は薬物動態を知るための重要な手がかりになります。
コンパートメントモデル
体内を1つあるいは複数(2〜3)の区画に分けて、その「血漿中濃度」の動きを速度論的に解析し、1つの薬物の体内動態の過程を明らかにすることを「コンパートメントモデル」解析といいます。
1コンパートメントモデル
血液中に入った薬が各組織に超速で分布して平衡に達すると仮定したとき、体内のあらゆる組織を「体循環(血液)」という1つのまとまりと考えることが出来ます。
このように体内を1つの区画(コンパートメント)として考えるモデルを「1コンパートメントモデル」といいます。以下に続く、計算式はすべてこのモデルに従っています。

ようするに組織を血液と同じまとまりとして考えているんだね!
「静脈内投与」の場合は 吸収:A の概念は不要で、代謝:M や 排泄:E による「消失」のみを考えるだけで良いので、ある 「消失速度定数〈Kel 〉」で消失するとき、時間〈t〉における「血中濃度(血漿中濃度)〈 Cp 〉」は以下のように表されます。
\[
C_p = C_0 \cdot e^{-K_{el} \, \cdot \, t}
\]
Cp:血漿中濃度 Co:初期 血漿中濃度 Kel:消失速度定数 t:時間
上記の式に、常用対数(底が10)をとると以下のようになります。
\[
\log C_p = \log C_0 \, -\, \frac{K_{el}}{2.303}\cdot t
\]
\[
\log C_p = \log C_0 \, -\, {0.4343} \cdot K_{el} \cdot t
\]
Cp:血漿中濃度 Co:初期 血漿中濃度 Kel:消失速度定数 t:時間

log10e = 0.4343 =1/ 2.303 だよ!
消失速度
「1コンパートメントモデル」のとき、
血中濃度が「消失」する速度は、「血中濃度」に依存して変化する 一次の速度反応で考えるため、「血中濃度」は指数関数的に減少することになります。
簡単にいうと、「血中濃度」が高ければ、消失する速度は早くなり、「血中濃度」が低ければ、消失する速度は遅くなることになります。
数式で表すと以下のようになり
\[
\frac{dC}{dt} = -K_{el} \cdot C
\]
さらに上記の微分方程式を解くと、以下の式が得られます。
\[
C_p = C_0 \cdot e^{-K_{el} \, \cdot \, t}
\]

これを微分すると元に戻ることを確認してみようね!
2コンパートメントモデル
「中央体循環(血液)」に加えて、「末梢 組織」の2つのコンパートメントとしたモデルを「2コンパートメントモデル」といいます。
このモデルでは組織の概念が加わったため、
薬の「血液濃度(血漿中濃度)」は「分布:D」と「消失」によって減少することになります。

1コンパートメントモデルでは「消失」だけを考えるだけで良かったもんね!
「分布」に関しては「中央体循環(血液)」と行き来することも重要です。
半減期
「半減期〈t1/2 〉」は、血中の薬物濃度が半分になるまでの時間を表します。
上記の式に、Cp = 1/2・C0 、t=1/2・tを代入すると、「半減期〈t1/2 〉」は以下のように表されます。
\[
t_{1/2} = \frac{0.693}{K_{el}}
\]
Kel:消失速度定数

log (X・Y)=logX+logYになるよね!
要するにlog C0は消えるんだ!
「1コンパートメントモデル」で考えた場合、
「消失速度定数〈Kel 〉」は定数なので、「半減期」も薬物固有の定数になります。
8時間まえに静脈内に投与した薬の現在の血漿中濃度が 0.5 mg/kg であった。半減期が2時間である場合、初期の血漿中濃度はいくらか。
- 1
- 2
- 4
- 8
- 16
4が正解です。
分布容積
「分布容積〈 Vd 〉」は「1コンパートメントモデル」に従い、
「血液濃度(血漿中濃度)」と均一な濃度で組織にも「分布」すると仮定した場合の”仮想”の体液量です。

実際は様々な組織でバラバラな薬物濃度になるところを、血漿中の濃度で統一したんだね!
計算式は以下のとおりです(※静脈内投与の場合)。
\[
V_d \; [\mathrm{ \, L \,/\, kg \,}] = \frac{D}{C_0}
\]
D:投与量 [mg/kg] C0 = 初期 血液中濃度 [mg/L]

分布容積は定数だから薬物に固有の値をもつよ!
わかりやすくするために、以下から具体例で考えてみましょう!
おさらい
おさらいを元に15 kg の犬において投与した薬物が 血液のみ に分布する場合、その分布容積は1L/ 15 kg = 0.067 となります。
同様に細胞外液(血液+間質液)に分布する場合は3L/ 15 kg = 0.2、体液すべてに分布する場合は9L/ 15 kg = 0.6ですね。
分布容積の具体例
上記の具体例のように分布容積が小さいほど血中に留まりやすく、大きいほど組織に広がりやすいことから、「分布容積」によって組織への「分布」のしやすさがわかります。
上記のような実例を考えるとVd = 0.6 を超えないと思われるかもしれませんが、「初期 血漿中濃度」が著しく低い場合、計算上の「分布容積」が 総 体液量を上回るケースがあります。
分布容積は、実容積ではないので注意!

9割が組織に移行する薬の場合は、Vd = 6.7 になるもんね!脂溶性の高い物質は「分布容積」が高くなるよね!
分布容積に関して誤っているのはどれか。
- 血漿タンパク質への結合が高い薬物は、分布容積が大きい。
- 水溶性の高い薬物は、分布容積が小さい。
- 分布容積が 100 を上回ることがある。
- 分子量が大きい薬物は、分布容積が大きい。
- 分布容積は投与量が多いと増加する。
1. a, b 2. a, e 3. b, c 4. c, d 5. d, e
3(b&c)が正解です。
血漿タンパク質への結合が高い薬物は、分布容積が小さい。
血漿タンパク質への結合している薬物は間質に移動できないため、分布容積は小さくなります。
水溶性の高い薬物は、分布容積が小さい。
水溶性の薬物は間質に移動が困難なので、血管にとどまり分布容積は小さくなります。反対に脂溶性の薬物は、分布容積が大きくなります。
分布容積が 100 を上回ることがある。
分布容積は実容積ではなく、都合よく考えた仮想の体積です。
分子量が大きい薬物は、分布容積が小さい。
分布容積は投与量が多くても増加しない。
分布容積は定数なので、各薬物固有の値で変化しません。
血中濃度-時間曲線下面積〈AUC〉
「血中濃度-時間曲線下面積〈 AUC 〉」は、
「1コンパートメントモデル」において 薬物による総 曝露量を意味しています。
「AUC」は血中濃度と時間の関係式を積分することで得られ、薬物固有の値です。
静脈内投与の場合は以下の式で求められます。
\[
\mathrm{AUC} = \frac{C_0}{K_{el}}
\]
C0 = 初期 血液中濃度 [mg/L] Kel:消失速度定数
経口投与の場合は、以下の式で求められます。
\[
\mathrm{AUC} = \frac{D \times F}{CL_{tot}}
\]
Kel:消失速度定数 F:量的バイオアベイラビリティ
クリアランス
「全身クリアランス〈 CLtot 〉」は
「1コンパートメントモデル」に従い 単位時間あたり薬物を処理した血液の容積を表します。
静脈内投与の場合は以下の関係式から求められます。
それぞれが薬物固有の値なので「全身クリアランス」もまた薬物固有の定数になります。
\[
CL_{tot} \; [\mathrm{\,L/hour/kg\,}] = \frac{D}{\mathrm{AUC}}
\]
\[
CL_{tot} \; [\mathrm{\,L/hour/kg\,}] = K_{el} \times V_d
\]
D:投与量 [mg/kg] AUC = 血中濃度-時間曲線下面積
Kel:消失速度定数 Vd:分布容積

tot とは、全身”tot”alの意味だね!
バイオアベイラビリティ〈生物学的利用率〉
静脈内投与の場合は上述のように、
投与量〈D〉が 初期の血中 薬物量〈X0 〉と等しくなります。
ところが「経口投与」で体内に入った薬物は、
小腸から「吸収:A」され、さらに門脈を介して「肝臓」に行き「代謝:M」されます。
このように「経口投与」された薬物は、循環血液に移行する前に「初回通過効果」を受けることになります。
「バイオアベイラビリティ〈F〉」とは、薬を経口で服用した場合、どの程度の薬物量が最終的に循環血液中に到達できたかを表しています。
\[
F = \frac{X_0}{D}
\]
X0: 初期の血中 薬物量 D:投与量 [mg/kg]
また、同じ薬物で静脈内投与と比較した場合に、経口投与によってどの程度循環血液に到達できるかを表す指標を「絶対的 バイオアベイラビリティ」といいます。
\[
F = \frac{{AUC_{po}}/{D_{po}}}{{AUC_{iv}}/{D_{iv}}}
\]
AUC = 血中濃度-時間曲線下面積 D:投与量 [mg/kg] iv:静脈内投与 po:経口投与
治療的薬物モニタリング〈TDM〉
投与する薬物が、期待した薬理作用を発揮し、さらにその作用を”維持”するためには、薬物の血中濃度を「治療域」内におさめる必要があります。
繰り返し投与では、ある一定の濃度”範囲”を推移する「定常状態」に到達しますが、特に治療域の狭い薬物では、その最低濃度や最高濃度が「治療域」を逸脱していないかチェックするために、定期的な血中モニタリングを行います。
このような治療に伴う介入を「治療的薬物モニタリング〈TDM〉」といいます。
バリアシステム
一般的に薬が作用するためには、標的組織に〈分布〉される必要がありますよね。
ところが、生体内には薬を含めた様々な外来物質の侵入を拒む特殊なバリアー構造を備えています。
特殊なバリアー機構 3つ
外来物質は当然「血液」を介してやってくるため、血管の内皮細胞はその第一関門に相当します。
血管の内皮細胞を超えた後の関門(第ニ関門)は組織によって異なります。
「血液脳関門」であれば「グリア細胞」が、
「血液胎盤関門」であれば「栄養膜細胞」が、
「血液 精巣関門」であれば「セルトリ細胞」がその第二の関門になるわけです。
加えて、脂溶性の高い物質が万が一侵入した場合でも「P – 糖タンパク質」による くみ出し機構 によって、血管内に戻されます。
「P – 糖タンパク質」は薬を血液から腸管あるいは血液から尿細管へ移動させる役割を持ち担体ですが、特殊なバリアー構造をもつ組織においては外来物質を血管に戻す担体としてバリアー機構に役立っています。

なるほどね!
「P糖タンパク質」は分布している場所によって輸送の方向が異なるんだ!
代謝酵素の誘導
代謝酵素の誘導に関しては、上述しています。
抗酸化酵素の誘導
細胞内のミトコンドリアでは大量の酸素を消費して「(内)呼吸」を行っています。この過程で沢山のATPが生成され、そのエネルギーで体を動かせていますよね。
ところが、このとき消費される一部の「酸素」に電子がくっつき還元されることで、「スーパーオキシド(O₂−)」が生成され、立て続けに「過酸化水素(H₂O₂)」や「ヒドロキシ ラジカル(・OH)」も作られます。
これらの反応性の高い酸素種の総称を「活性 酸素種」と呼びます。

「活性酸素種」は酸化剤になるんだね!
このような酸化剤が細胞内にたくさんある状態、つまり酸化ストレスがある状況では抗酸化酵素の誘導が起こります。
代表的な抗酸化酵素
活性酸素種を除去する、代表的な抗酸化酵素は上記の通りです。
「スーパーオキシド ジスムターゼ(SOD)」は、生体内で最も多く生成される「スーパーオキシド(O₂−)」を処理する酵素です。
「グルタチオン ペルオキシダーゼ(GPX)」と「カタラーゼ(CAT)」は、「過酸化水素」を分解するための酵素です。「過酸化水素」は、活性酸素種の中で最も反応性の高い「ヒドロキシラジカル」を生成するため、早急な処理が必要です。
代表的な抗酸化物質
メタロチオネイン
「メタロチオネイン」は、金属に結合するタンパク質です。メタロは金属、チオはチオール基、ネインはタンパク質を表しています。

チオール基の酸化型がジスルフィド結合だよ!
このチオール基(-SH基)がカドミウム〈Cd〉や水銀〈Hg〉などの重金属イオンや、活性酸素種の1つである「フリーラジカル」と反応することで重金属による解毒作用や、ラジカル除去に役立っています。



