犬の緑内障に関する記述として適当でないのはどれか。

過去問

73回 B問題 問52

難易度:並

犬の緑内障に関する記述として適当でないのはどれか。
  1. 眼房水の排泄障害が発症要因となる。
  2. アメリカン・コッカー・スパニエルは閉塞隅角緑内障の好発犬種である。
  3. 慢性期には眼球拡張(牛眼)がみられる。
  4. 眼底検査において視神経乳頭の膨隆が認められる。
  5. 眼房水の排泄を促進する目的でラタノプロストを点眼する。

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
眼房水の排泄障害が発症要因となる。

眼房水の産生量>排出量の状態により発生します。

重要度:☆☆☆
アメリカン・コッカー・スパニエルは閉塞隅角緑内障の好発犬種である。

特に原発緑内障の後発犬種は「柴犬」と「アメリカン・コッカー・スパニエル」です。

隅角とは、房水を排出する場所です。排出する場所が閉塞すれば、当然眼房水が異常に貯留し眼圧は上昇してきます。開放隅角緑内障は、全体の1%ほどでレアケースです。

重要度:☆☆☆
慢性期には眼球拡張(牛眼)がみられる。

急性期の場合は神経が障害されていないので、適切な点眼薬によって視覚回復の見込みがあります。

一方で、慢性期になって眼球拡張も出てくるとなるといくら頑張っても視覚を戻すことは不可能です。早期の診断治療が重要な疾患です。 

重要度:☆☆☆
眼底検査において視神経乳頭の萎縮が認められる。

視神経乳頭は生理的に陥凹していますが、緑内障により病的に陥凹していきます。所見としては、視神経乳頭から出る血管の消失(病的陥凹のため)や、視神経乳頭の萎縮(色がグレーになってくる)、網膜の菲薄化(タペタムのギラツキ)が起こってきます。

重要度:☆☆☆
眼房水の排泄を促進する目的でラタノプロストを点眼する。

ラタノプロストは、プロスタグランジン製剤なので「炎症物質」です。「ぶどう膜炎」を考えれば分かるように、眼の中の炎症は縮瞳を起こします。

縮瞳により、隅角が開き房水が流れやすくなります。
この方法を上手に用いたのがこのプロスタグランジン製剤です。

類題はこちら。

関連する問題を乗っけておきます。

緑内障の治療薬を知ろう!

  • プロスタグランジン類似薬(ラタノプロスト)
    • 炎症物質で、瞳孔を縮瞳させ隅角が開くため排出が促進される。

ネコには効果はありません。
水晶体亜脱臼・水晶体前方脱臼では、かえって眼圧が上昇するため禁忌。また炎症物質である点からも分かるようにぶどう膜炎を起こすリスクもあります。しっかりと検査をした上での処方は必須です。

  • 交感神経遮断薬(チモロール)
    • β受容体を遮断することで縮瞳、房水の産生量を低下させます。

副作用として、気管支の収縮や心機能低下が生じる場合があります。小さい動物ほど起こりやすいので心臓に対するモニターは必須ですな。

  • 炭酸脱水酵素阻害薬(ドルゾラミド)
    • 房水産生を抑制します。