73回 B問題 問15
難易度:並
2021年12月現在、我が国で承認されていないワクチンはどれか。
- アカバネ病ワクチン
- 猫伝染性腹膜炎ワクチン
- 牛コロナウイルス感染症ワクチン
- 犬コロナウイルス感染症ワクチン
- 馬鼻肺炎ワクチン
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆
アカバネ病ワクチン
重要度:☆☆☆
猫伝染性腹膜炎ワクチン
単にワクチンがない!のではなく、「抗体依存性感染増強」というジレンマが猫伝染性腹膜炎(FIP)には存在します。
本来原因ウイルスを排除するために働く抗体が、猫伝染性腹膜炎ウイルスそのものの感染を増強してしまうということです。なんと辛いジレンマなのであろうか、、、
重要度:☆
牛コロナウイルス感染症ワクチン
重要度:☆
犬コロナウイルス感染症ワクチン
重要度:☆
馬鼻肺炎ワクチン
解説
猫伝染性腹膜炎
原因
アルファコロナウイルスによる感染症です。
疑いたくなる所見
「若齢♂猫(1歳未満)」「高グロブリン血症」「胸・腹水」「肉芽腫」「ぶどう膜炎」です。
診断するには?
蛋白分画によりγグロブリンが増加する所見が得られます。
またFCoV抗体価を測定することができますが、業者によって値が変わることや偽陽性・偽陰性が出る場合があるため100%の信頼を置くことはできませんが、FCoV抗体価<100であった場合は感染していない可能性が高いと言えます。
他にも胸・腹水のPCR検査も有効です。猫腸コロナウイルス感染症(FECV)と猫伝染性腹膜炎(FIPV)を区別できるようになり、陽性であったときの的中率が抗体検査より良いです。
いずれにしても、血液検査でのTP、レントゲン検査での胸腹水の貯留・マスの確認、触診、視診すべてで総合的に診断を進めていく必要があります。
治療
治療法はありません。
一番やってはいけないことは、FIPだと誤診して安楽死のケースです。上記にも書きましたが、抗体検査にこだわらず総合的に診断していく必要があります。