てんかん症例では使用を控えるべき麻酔薬はどれか。

過去問

73回 A問題 問75

難易度:並

てんかん症例では使用を控えるべき麻酔薬はどれか。
  1. ケタミン
  2. チオペンタール
  3. イソフルラン
  4. プロポフォール
  5. セボフルラン

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
ケタミン

NMDA受容体拮抗薬です。
解離性麻酔薬としても有名ですね。

ケタミンは大脳皮質を抑制する一方で大脳辺縁系は活性化させるため、
これを「解離」としています。

この大脳辺縁系の賦活作用により脳圧・眼圧が上昇するわけです。

近年のケタミンの使い方は「抗うつ薬」と「Low Dose の鎮痛作用」です。
大脳辺縁系は感情を司るため、この部分を賦活できれば鬱を解消できるかもしれません。

また麻酔導入量(犬:2-5mg/kg 猫:5-10mg/kg iv)の10%以下の濃度で24時間以上CRIすると良好な鎮痛効果が得られる点がポイントです。

重要度:☆
イソフルラン

GABAA受容体に結合することで麻酔作用を発現します。

イソフルランで維持する前に、鎮痛薬や筋弛緩薬を用いると、その容量が半分になると考えると凄いですよね。

イソフルランの特徴は「生体代謝率がほぼ0%」なところです。麻酔薬を代謝・排泄する肝臓・腎臓に対する影響がほぼないのは優秀なポイントですよね!!!

重要度:☆
チオペンタール

超短時間作用型バルビツレートで、GABAA受容体に結合することで麻酔作用を発現します。

  • チオペンタール 短時間型作用型
  • ペントバルビタール 短時間作用型
  • フェノバルビタール 長時間作用型

重要度:☆
プロポフォール

GABAA受容体に結合することで麻酔作用を発現します。

プロポフォール vs アルファキサロン

プロポフォールは脂溶性で、アルファキサロンは水溶性。プロポフォールは大豆・卵の成分を使用しているためアレルギーのリスクがある一方で、アルファキサロンはアレルギーのリスクはほとんどない。またアルファキサロンは、皮下投与(SC)や筋肉内投与(IM)でも有効です。

重要度:☆
セボフルラン

イソフルランとの比較が重要です。

セボフルランの特徴は「気道刺激性がない!」「血液/ガス分配係数が小さい」「かなり高価」です。

イソフルランを嗅がせるときに、動物が嫌がるのは「イソフルランに気道刺激性がある」からだと考えています。セボフルランは刺激性がないので優秀なんですよね。

またセボフルランは、「血液/ガス分配係数が小さい」ためイソフルランに比べ導入と覚醒が早いのが特徴です。

血液/ガス分配係数とは?


血液/ガス分配係数は、「血液に吸入麻酔薬(ガス)がどれくらい溶けるか」と訳せます。

吸入麻酔薬が効果を発現するには、
血管内から離れて神経細胞に作用する必要があります。

血液/ガス分配係数が小さいとは、
血液にガスが溶けにくいことを表すため、血管を離れて神経細胞に作用しやすいことになります。

また、「ガスが血液中により溶けにくい」は「肺胞内にガスとして残っている」とも考えられるため、肺胞内のガスを除いてしまえば効果を失うのも早いわけですね。

以上から、血液/ガス分配係数が低いほど導入・覚醒が早い、さらには吸入麻酔薬濃度の微調整にも敏感に反応することを表しています。

じゃぁセボフルランでいいじゃん!!と思いますが、「めっちゃ高価」なんですよね。。。

値段で考えてもより高価なんですが、セボフルランはイソフルランに比べMAC値が2倍程度大きいがあるため、使う量も2倍になるということですね。。。

解説

注射麻酔薬は、基本的に副交感神経が優位になるため心拍数を低下させ、血圧を下げます。
これが一般的なデメリットです。

一方で、「ケタミン」は交感神経優位になるため心拍・血圧は下がるよりむしろ上昇傾向となります。もちろん、多剤併用で麻酔管理するためそうならない場合も多いですが、、、

デメリットとして「ケタミン」は「脳圧を上げる」ため、
てんかんや痴呆症など脳病変が疑われる場合には用いるべきではありません。

「てんかん」という言葉は症状ではありません。疾患名です。
症状を他者に伝えたい場合は、「発作」や「てんかん発作」が良いでしょう。

はっきり言って「発作」や「てんかん発作」、さらには「痙攣」との違いはかなり曖昧で難しいです。学生の今は、詳しく知らなくても良いと考えています。細かすぎて、無理です。

いずれ「てんかん」に対しても記事を書きたいと思っているので、期待して下さい。