犬の前十字靱帯断裂において二次的に損傷しやすい組織はどれか。

過去問

72回 B問題 問64

難易度:易

犬の前十字靱帯断裂において二次的に損傷しやすい組織はどれか。
  1. 内側半月
  2. 外側半月
  3. 膝蓋骨
  4. 外側側副靱帯
  5. 膝蓋靱帯

選択肢を吟味しよう!

内側半月

内側半月の損傷により、
有名な臨床兆候である「クリック音」が生じます。

内側半月の損傷を疑う場合は、前十字靭帯断裂の整復術の適応になります。

外側半月

膝蓋骨

外側側副靱帯

膝蓋靱帯

解説

前十字靭帯とは?

前十字靭帯とは大腿骨と脛骨をつなぐ靭帯で、
脛骨が前方にずれないようにしています

当然この靭帯が切れると、脛骨が前方に突出することになりますよね。
これを「脛骨前方引き出し試験」といいます。

似た検査法として「脛骨圧迫試験」ってのもありますが、
脛骨前方引き出し試験による「ドロワーサイン」の感度の方が高いので良いです。

前十字靭帯断裂により内側半月」が損傷することはめっちゃ重要なので絶対覚えて下さい。
損傷しているかどうかは、「膝関節の屈伸時のクリック音」にて判断できます。

「膝蓋骨内方脱臼」は実際に合併症として重要ですから、
そこと関連付けると覚えやすいです。

前十字靭帯は2つに分かれている。

前十字靭帯は「前内側帯」と「後外側帯」の2つに分かれています。

前内側帯は、膝関節の伸展時にも屈曲時にも、常に緊張しています。
一方で、後外側帯は屈曲時には緩んでいます。

当然、前内側帯は常に張っている状態なため断裂しやすく、
前内側帯のみ断裂する「部分断裂」も知られています。むしろ「部分断裂」の方が多いようです。

手術法は?

また前十字靭帯断裂の手術法として
「脛骨高平部-水平化骨切り術(TPLO)」があります。

簡単に言うと、脛骨の高平部を水平にして大腿骨との接地面を増やしてあげる手術です。
「え〜そんなんでよくなるの?」と最初は思いましたが、ほとんどの症例で症状の改善が認められている、スンゲェ術式です。

整形に力を入れている動物病院では必ずと言っていいほど出てくるワードなので覚えて損はないです。