72回 B問題 問65
難易度:並
犬の尾側頸椎脊髄症(ウォブラー症候群)の記述として適当でないのはどれか。
- ドーベルマンで発生が多い。
- 腹側減圧術や椎体固定術が行われる。
- 前肢の歩幅の短縮を呈することがある。
- 診断には MRI 検査が有用である
- 主な原因はハンセンⅠ型椎間板ヘルニアである。
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆☆
ドーベルマンで発生が多い。
大型犬・超大型犬で発生が多いです。
重要度:☆☆☆
腹側減圧術や椎体固定術が行われる。
ウォブラー症候群は頚椎の疾患なので「”腹側”減圧術」が選択されます。
原因の場所によって選択される術式が変わります。これは絶対覚えて下さい。
重要度:☆☆
前肢の歩幅の短縮を呈することがある。
重要度:☆☆☆
診断には MRI 検査が有用である
重要度:☆☆
主な原因はハンセンⅡ型椎間板ヘルニアである。
解説
「ウォブラー症候群」は、
頚椎の形成異常(骨が悪い)と
頚椎付近の軟部組織の異常(椎間板や靭帯が悪い)等の原因により生じる頸髄の疾患です。
症状として重要なポイントは
「頚部痛」
「後肢不全麻痺」です。
頚椎が原因なのに後肢のフラつき、開脚が主な症状ってのが面白いですよね。
椎体が悪い場合
先天的な骨の異常により生じるため「若齢型」と呼ばれています。
解剖学的には脊髄(ここでは頸髄)は椎体の背側にあるため、
椎体の形成異常によって脊髄を圧迫するわけですね。
軟部組織が悪い場合
靭帯や椎間板の慢性的な変化や、
ワンコ自身の高齢化に伴って生じるため「成熟型」と呼ばれています。
ワンコの高齢化に伴う椎間板の変性は「ハンセンⅡ型椎間板ヘルニア」と呼ばれています。
また靭帯の異常としては「黄色靭帯の肥厚」があげられます。黄色靭帯は脊髄の背側に存在している靭帯です。