犬の胸部X線背腹像で、心陰影が 1〜2 時方向に拡大する疾患はどれか。

過去問

72回 B問題 問58

難易度:並

犬の胸部 X 線背腹像で、心陰影が 1〜2 時方向に拡大する疾患はどれか。
  1. 大動脈弁狭窄
  2. 動脈管開存症
  3. 犬糸状虫症
  4. 右大動脈弓遺残
  5. 僧帽弁閉鎖不全症

1. a, b 2. a, e 3. b, c 4. c, d 5. d, e


選択肢を吟味しよう!

解答のポイント
背腹像は、背→腹方向にビームを通したことを表します。また、心陰影の 1〜2 時方向は「肺動脈」になります。

注意度:☆
大動脈弁狭窄

大動脈圧が上昇するため「大動脈」が突出します。

DV像では、12〜1時方向。ラテラル像では、10〜11時方向は「大動脈」となります。

重要度:☆☆☆
動脈管開存症

はじめは「左→右」ですが、いずれ肺動脈圧が上昇し「右→左」となります(アイゼンメンジャー症候群)。当然「肺動脈」の異常を考えると選択できます。

重要度:☆☆☆
犬糸状虫症

注意度:☆
右大動脈弓遺残

心臓の問題ではない心陰影の拡大は一般的ではありません。

本来、左側を通る大動脈弓が”右”側に形成されるために生じる「気管の左方変位」が認められるケースが多いです。大動脈弓より頭側での「食道の拡張」や「造影剤の滞留」も特徴的な所見ですよね。

奇形には様々な程度があるので、実際の臨床では見逃されるケースもあると考えています。

注意度:☆
僧帽弁閉鎖不全症

一般的に左心房や左心耳が突出します。

左心耳であれば、2〜3時方向に突出がみられます。

「左心房」は正中で、かつ気管分岐部の尾側に位置するため突出は一般的ではありません。「左心房」が拡大すると「気管支」を変位する所見や、心房拡大によって心房の辺縁が明瞭になる「ダブルオパシティサイン」が一般的です。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

「ダブルオパシティサイン」は左心房の拡大だけでなく、「リンパ節の拡大」でもみられるよ!全身状態や他の検査(超音波検査)と組み合わせて総合的に判断する必要があるよね!

解説

背腹像なので、DV像(うつ伏せ)ってことになりますね。

心臓を時計として見たときをイメージすると、

12〜1時方向は「大動脈」、
1〜2時方向は「主肺動脈」、
2〜3時方向は「左心耳」、
3〜6時方向は「左心室」、
6〜11時方向は「右心室」、
9〜11時方向は「右心房」となっています。


ちなみに、ラテラル像(左・右側臥位像)は以下の様になっています。

12〜2時方向は「左心房」、
2〜5時方向は「左心室」、
5〜9時方向は「右心室」、
9〜10時方向は「主肺動脈・右心耳」、
10〜11時方向は「大動脈」となっています。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

ちなみに、
右側臥位(RL)は右を下にして寝せている状態、
左側臥位(LL)は左を下にして寝せている状態のことだよ!

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