猫の肝リピドーシスで一般的にみられる所見はどれか。

過去問

72回 B問題 問53

難易度:易

猫の肝リピドーシスで一般的にみられる所見はどれか。
  1. 急激な体重増加
  2. 血清クレアチニンの上昇
  3. X線検査における小肝症
  4. 超音波検査における肝実質のエコーレベルの上昇
  5. 肝臓の細胞診におけるリンパ球形質細胞の浸潤

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
急激な体重減少

重要度:☆☆☆
ALPの上昇

猫では、ALPの半減期が短く血中には残りませんが「肝リピドーシス」では、上昇します。絶対に覚えてください。

ちなみに、猫の場合「甲状腺機能亢進症」もALPが上昇することで有名です。

重要度:☆☆☆
X線検査における肝腫大

肝臓に脂肪が蓄積している状況なので、肝臓は大きくなります。

重要度:☆☆☆
超音波検査における肝実質のエコーレベルの上昇

いわゆる肝臓の高エコーです。

肝臓のエコー源性は、「肝鎌状間膜の脂肪」と比較して評価します。
脂肪より低エコー(肝臓が黒め)が正常です。

肝実質の脾臓や腎臓と比べるんじゃ??

脾臓や腎臓と比べるのは間違いではありません。
が脾臓や、腎臓は加齢性により線維化を起こし高エコーになっていく可能性があります。
加齢性のアーチファクトで、判断を誤るのは辛いので僕は使いません。

どの年齢でも、エコー源性が変化しないのは「脂肪」です。

他には、「末梢の門脈壁」と比較する方法もあります。
門脈壁はそもそも高エコーで見えるため、その部分と肝実質を比べるわけです。

門脈壁が見えない肝実質は明らかな、肝臓高エコー所見です。
本当に、門脈壁が見えないんですよ!!!

重要度:☆☆☆
肝臓の細胞診における多量の脂肪滴

診断は、肝臓のバイオプシーで可能です。

解説

「肝リピドーシス」で多い臨床的特徴は、
「デブ猫の食欲不振」です。

なので、にゃんこが食べようとしなくても
ご飯は強制的に食べさせる必要があります(強制給餌)

猫ちゃんの場合、

すりつぶした療法食を口から強制的に流し込む
いわゆる「強制給餌」が必要になると思われます。

しかしながら、
強制給餌という行い自体が猫ちゃんにストレスがかかるため推奨されていません。

以上から経腸栄養の中の「経鼻栄養(鼻からカテーテルを食道や胃にいれる)」
により栄養管理すると良いです。