犬のファンコーニ症候群でみられる徴候として誤っているのはどれか。

過去問

72回 B問題 問45

難易度:並

犬のファンコーニ症候群でみられる徴候として誤っているのはどれか。
  1. 多飲多尿
  2. 高カリウム血症
  3. タンパク尿
  4. 尿糖
  5. 代謝性アシドーシス

選択肢を吟味しよう!

多飲多尿

カリウム血症

ほとんど全てが再吸収できないので、高カリウムではなさそうです。

タンパク尿

尿糖

代謝性アシドーシス

解説

ファンコーニ症候群ってなんだろう?

「ファンコーニ症候群」とは、
近位尿細管が再吸収障害を起こす有名な病気です。

「バセンジー」においては遺伝性疾患として知られています。

具体的に何を再吸収出来ないかというと、
だいたいほぼ全部と考えたほうがはやいです。

つまり再吸収するべき重要な物質をおしっこに出してしまう病気です。

特に重要な物質なのは「グルコース」「アルブミン」「重炭酸イオン」です。

糖尿病 vs ファンコーニ症候群

「糖尿病」「ファンコーニ症候群」いずれも尿糖が陽性になります。

みなさんなら、どうやって鑑別します?

ファンコーニ症候群では、高血糖を伴わないのに尿糖が出るのが特徴です。
一方糖尿病は、高血糖になり腎臓の再吸収キャパシティを超えると、その分尿糖として出るわけです。

犬の場合は、200 mg/dL
猫の場合は、糖の再吸収量可能量が多いため300 mg/dLを超えると尿糖が陽性になります。

ケトアシドーシス vs ファンコーニ症候群

「ケトアシドーシス」とは、
血中にケトン体が増え血中pHが低下する病気です。

ここで生じるケトン体が酸性のため血中の重炭酸イオンと中和し、
アニオンギャップが増加する「高アニオンギャップ性代謝性アシドーシス」が生じます。

高アニオンギャップ性アシドーシスは他にも、「乳酸アシドーシス」「尿毒症」「エチレングリコール中毒」で生じます。

一方で、「ファンコーニ症候群」はアニオンギャップが増加しません
なぜならケトン体のような酸性物質が生じていませんもんね。

このように単純に重炭酸イオンを失っている場合を「高クロル性代謝性アシドーシス」と言います。高クロル性になるのは、体内で重炭酸イオンが減ったのをクロルイオンが埋め合わせをしているからです。

高クロル性代謝性アシドーシスは、他にも「下痢」「代償性」などの原因が考えられます。

同じアシドーシスでもタイプが異なることは重要です。