特発性乳び胸に対する外科的治療法として適切でないのはどれか。

過去問

71回 B問題 問63

難易度:並

特発性乳び胸に対する外科的治療法として適切でないのはどれか。
  1. 胸管結紮
  2. 胸腺切除
  3. 心膜切除
  4. 乳び槽破壊
  5. 胸腔ドレーンの設置

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆
胸管結紮

胸管を結紮することで、リンパ液が胸腔に漏れないよね!ってことです。

重要度:☆
胸腺切除

乳び胸と胸腺の因果関係はありません。

重要度:☆☆
心膜切除

乳びによって、胸膜や心膜が炎症を起こし肥厚することでリンパ管内圧が上昇することが分かっています。そのため、心膜を切除することによりリンパ管内圧の上昇を予防し、胸腔内へのリンパ液の漏出を抑制しています。

心膜に貯留する程度の乳びの場合は、胸腔に漏れても吸収されるため問題ないようです。

重要度:☆☆
乳び槽破壊

胸管を結紮することで、乳び槽で圧が上昇し副経路ができます。それを防ぐために乳び槽を破壊しますが、一般的に一回目の外科手術では乳び槽破壊まで行わないようです。

重要度:☆☆
胸腔ドレーンの設置

解説

一般的に胸水といっても、それが本当に水分なのか、はたまたそれ以外の「血」「膿」「リンパ液」なのかで今後の治療方針は決まってきます。

本問では特に「リンパ液」が胸腔内に貯留した「乳び胸」に関する問題です。乳び胸には、特発性の一次性乳び胸と、背景の疾患による二次性乳び胸に分けられます。二次性乳び胸は、上げれば切りがないので省きます。

二次性乳び胸の場合には原因疾患の治療により改善する場合があります。
一方で特発性一次性乳び胸は、一般的に選択肢のような外科手術により改善を図ります。

利尿剤による治療効果はあるのか?

結論として、エビデンスがありません。胸水の場合は、利尿剤による利尿を待つより「胸腔穿刺」により胸水を抜去したほうが早いです。胸腔穿刺する際は、14 G〜18 Gの針で第7〜9肋骨間に45°の角度をつけて穿刺すると良いと言われています。