食品の腐敗防止に関する記述として適切なのはどれか。

過去問

71回 B問題 問22

難易度:易

食品の腐敗防止に関する記述として適切なのはどれか。
  1. 塩漬(塩蔵)では食品中の自由水を減らすことで微生物の増殖を抑制する。
  2. 冷蔵(10°C以下)において全ての微生物の増殖が抑制される。
  3. 食品の pH を下げると加熱殺菌効果が弱まる。
  4. 紫外線照射により食品内部の殺菌が可能である。
  5. 食品包装内を真空にすることによって通性嫌気性菌の増殖を抑制する。

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
塩漬(塩蔵)では食品中の自由水を減らすことで微生物の増殖を抑制する。

どんな生物でも、水がなくなれば生きていけません。細菌の一番の大敵は「乾燥」です。

重要度:☆☆☆
冷蔵(10°C以下)において一部の微生物の増殖が抑制される。

低温発育菌という、冷蔵(10℃以下)でも増殖できるたちの悪い細菌がいます。

食中毒で覚えるべき

  • Yersinia enterocolitica
  • Listeria monocytogenes

その他

  • Pseudomonas

重要度:☆☆☆
食品の pH を下げると加熱殺菌効果が高まる

食品を酢につけるのは、殺菌効果が高まるからなんですな。

ちなみにですが、「アニサキス」をお酢では殺せません。

重要度:☆☆
紫外線照射により食品表面の殺菌が可能である。

流石に内部まではムリがあります。

重要度:☆☆
食品包装内を真空にすることによって通性嫌気性菌の増殖を抑制できない

通性嫌気性菌とは、酸素があってもなくても解糖ができる細菌なので、真空にしても増殖します。ただ増殖スピードは低下するようですね。

解説

微生物が増殖するためには、
温度、pH、栄養などがありますが、「水分」もかなり重要です。
この水分に焦点をあてた微生物増殖の指標が「水分活性(Aw)」です。

この水分活性の値が0に近いほど、
食品に含まれる自由水が少なく「細菌が増殖しにくい食品」ということが分かります。

単純に水分活性は、水分量だと考えても良いでしょう。

後は、水分活性で増殖できるのが何かを頭に入れる必要があります。以下にまとめています。

  • 細菌は水分活性がAw値が0.90以上で増殖
  • 酵母は水分活性がAw値が0.88以上で増殖
  • カビは水分活性がAw値が0.80以上で増殖

カビが一番タチが悪いことになります。

ちなみに「黄色ブドウ球菌」は他の細菌と異なり、
水分活性がAw値が0.86から増殖が可能である点は重要なポイントです。