胸部X線検査で高圧の管電圧を用いて撮影を行う主な目的はどれか。

過去問

71回 A問題 問72

難易度:難

胸部 X 線検査で高圧の管電圧を用いて撮影を行う主な目的はどれか。
  1. X線画像の黒化度を下げる。
  2. 散乱線の発生量を減少させる。
  3. 画像コントラストを強くする。
  4. 動きによるボケ(モーションアーチファクト)を最小限にする。
  5. 肋骨や心臓と重なった病巣部を観察しやすくする。

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆☆
X線画像の黒化度を上げる

透過性が高くなので、画像が黒くなります。

重要度:☆☆☆
散乱線の発生量を増加させる。

電圧が高くなるほど、
散乱線の発生量は増えます。

散乱線は、入射方向とは異なった方向に進みますが結局検出器まで到達します。
そうなるとコントラストが低下します(要するに画像がボケる)。

その散乱線の影響を少なくするのが「グリッド」と呼ばれるものです。
被写体と検出器の間に置くことで、発生した散乱線を吸収してくれます!素晴らしい!!!!

グリットに使用されているのは「鉛」です。X線防護服に含まれているのと一緒です。

重要度:☆☆☆
画像コントラストを弱くする。

透過性が高くなるので、
白と黒の違い(コントラスト)は少なくなり、メリハリがない像になります。

重要度:☆☆☆
動きによるボケ(モーションアーチファクト)を最小限にする。

ボケは電流と撮影時間に関わります。

電流が増えると、
その分電子の量が増えますから、全体的に画像が黒くなります。

一方で撮影時間(シャッタースピード)を長くすると、
その間通過できる電子量が増えますから、画像は黒くなります。

この2つをかけ合わせた値が、マス値(電流×撮影時間=mAs)と呼ばれます。
マス値の結果が同じならもちろん得られる画像の濃度は同じになります。

動きによるボケを最小限にするには、
シャッタースピードを短くする必要がありますから、mAs値を下げるべきです。

重要度:☆☆☆
肋骨や心臓と重なった病巣部を観察しやすくする。

電圧を高くすることで、肋骨・心臓が淡くなり肺野の病変が見やすくなります。

解説

電圧が高いほど勢いよく飛び出していきます。

物理学とは、
若干解釈が間違っているかもしれませんが、、、

ホースをイメージして下さい。
蛇口をたくさん回すと、勢いよく水が飛び出してきます。この蛇口こそが電圧みたいなものです。

結果として透過性は上がります。

例えばガリガリの子と、
デブの子では同じ電圧で異なる画像が得られます。

なのでその子にあった電圧に調整して撮影する必要があります。