【獣医師国家試験】末梢神経系に対する作用

まとめ

【全体像】末梢神経系に作用する薬剤

末梢神経系に作用する薬剤 全体像

神経系に作用する薬物で重要なターゲットになるのは、「神経 – 効果器」と「神経 – 神経」のたった2つです。 

いずれにしても、神経からの刺激の受け取り口は「アセチルコリン受容体」と「アドレナリン受容体」であり、前者は主に、臓器の副交感神経作用を、後者は交感神経作用を引き起こします。

局所麻酔薬

局所麻酔薬」は神経線維の「Na+チャネル」を阻害することによって、神経活動を遮断して痛みを中枢で知覚させないようにして鎮痛効果を引き起こします。

局所麻酔薬

  • エステル型
    • プロカイン
  • アミド型
    • リドカイン(商品名:キシロカイン)
    • ブピバカイン(商品名:マーカイン)

「局所 麻酔薬」には、「エステル型」と「アミド型」の2つが存在し、特に「エステル型」の局所麻酔薬は、血中エステラーゼに分解されやすいので作用時間が短いのが特徴です。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

エステル型だから、エステラーゼで分解されちゃうんだね!

コリン作動薬

コリン 作動薬」とは、末梢の効果器に存在する
「ムスカリン受容体(M受容体)」に結合し、”副”交感神経刺激と似たような作用を引き起こす薬物をいいます。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

(アセチル)コリン作動薬だと考えればわかりやすいね!

コリン作動薬

  • カルバコール
  • ベタネコール
  • ピロカルピン(ムスカリン作用のみ)

「ピロカルピン」はムスカリン作用のみをもち、副交感神経を刺激して縮瞳させます。

縮瞳によって眼房水の排出口である隅角が開いて、眼房水の排泄を亢進されることから「閉鎖隅角 緑内障」の治療薬として目薬で用いられる場合があります。

コリンエステラーゼ 阻害薬

コリン エステラーゼ阻害薬」とは、アセチルコリン(ACh) を分解する、「コリン エステラーゼChE)」を阻害して、シナプスのACh量を増やし、効果器の反応を増強させる薬物です。

コリン エステラーゼ阻害薬

  • カルバメート系・・・可逆性
    • エドロホニウム
    • ネオスチグミン
    • フィゾスチグミン
  • 有機リン系・・・”非” 可逆性
    • サリン
    • イソフルロフェート(DFP)

大きく分けて、「コリン エステラーゼ(ChE)」を
可逆的に阻害する「カルバメート系化合物」 と、”非”可逆的に阻害する「有機リン系化合物」があります。

小動物に臨床応用されているのは「エドロホニウム」で、重症筋無力症の診断に有用です。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

いわゆる「テンシロン テスト」だね!

「コリン エステラーゼ阻害薬」は治療薬としてよりか、殺虫薬・農薬として有名な薬です。

これらの薬物を小動物が誤飲し、中毒症状を呈しているケースでは解毒薬として「プラリドキシム(PAM)」「アトロピン」を利用することが可能です。

注意点として「プラリドキシム」は脱リン酸化物質なので、カルバメート系化合物の中毒症状には無効です。この場合は「アトロピン」で対症療法的に様子を診ます。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

「プラリドキシム(PAM)」は酵素活性を復活させるすごい薬だよ!

抗コリン作動薬

抗コリン 作動薬」とは
「ムスカリン受容体」に結合し、アセチルコリンと拮抗して“副”交感神経作用を抑制する薬物です。結果「交感神経作用」が現れます。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

コリン作動薬に対して、コリン抑制薬だね!

抗コリン作動薬

  • アトロピン
  • グリコピロレート
  • ブチル スコポラミン
  • イプラトロピウム
  • オキシブチニン

アトロピン」の臨床応用例としては、注射薬として迷走神経反射による循環抑制や徐脈性不整脈、また散瞳薬として利用されます。「グリコピロレート」は長時間作用型の抗コリン作動薬です。

「スコポラミン」は血液脳関門を通過しますが、アルキル化処置された「ブチル スコポラミン」は中枢移行が制限されます。消化管運動の抑制のために、使用されるケースがありますね。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

アトロピンは過剰な心拍数・血圧の増加を引き起こす可能性があるから、ボーラスではなく to effect で行おう!

筋 弛緩薬(神経筋 接合部 遮断薬)

筋 弛緩薬」は末梢の効果器(筋肉)に存在する「ニコチン受容体(N受容体)」を遮断することによって、筋肉の収縮を抑制させる薬物です。

筋弛緩作用によって術中の体動を抑制することが可能ですが、筋肉の収縮によって行われる呼吸筋も抑制され呼吸が止まります。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

気管挿管・人工呼吸はマストだよ!

神経筋 接合部 遮断薬(筋 弛緩薬)

  • ダントロレン
  • 競合 遮断薬
    • dーツボクラリン
    • パンクロニウム
  • 脱分極性 遮断薬
    • スキサメトニウム(サクシニル コリン)
    • デカメトニウム

「ダントロレン」は骨格筋のT管の興奮が筋小胞体に伝えられる過程を遮断、Ca2+の細胞内への遊離を抑制して筋弛緩作用を生じます。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

「ダントロレン」は、
麻酔時の「悪性高熱」に対する治療薬としても重要だね!

個人的に経験したことはないけど、、、準備している病院はあるのかな???

「脱分極性 遮断薬」とは、脱分極が持続すると、電位依存性Na+チャネルが不活化し活動電位が発生できなくなることを利用した筋弛緩薬です。

自律神経節に作用する薬

「自律神経節 作動薬」は、内臓神経(自律神経)の神経節に存在する「ニコチン受容体(NN受容体)」に作用し、アセチルコリンと競合拮抗して、交感・副交換神経作用を抑制します。

どちらを抑制するかに関しては、各臓器がどちらの神経支配なのかに依存しています。

自律神経節 遮断薬

  • ヘキサメトニウム
うまさん
うまさん

ヘキサメトニウムとスキサメトニウムって違いが分からなくなるんだよね、、、

Nekoyasiki
Nekoyasiki

ほんと、そうだよね、、、

スキサメトニウムは神経と神経の”隙間”に働く。ヘキサメトニウムに関しては、神経に対して骨格筋が壁のように立ちはばかるっているイメージから、ヘキ(壁)サメトニウムと覚えたよ!

アドレナリン作動薬

副交感神経を刺激するのが「コリン作動薬」であるのに対し、交感神経を刺激するのが「アドレナリン作動薬」になります。

アドレナリン 作動薬

  • カテコールアミン
    • アドレナリン・ノルアドレナリン
    • ドパミン・ドブタミン
    • イソプロテレノール
  • 非カテコールアミン
    • クロニジン( 選択的α2
    • エフェドリン(α or β)
    • フェニレフリン( 選択的α1
    • サルブタモール( 選択的β2

末梢に存在する アドレナリン受容体は、「α受容体」と「β受容体」の2つに大別、さらにサブタイプで細分化されているため、各受容体への親和性によって、引き起こされる効果が異なります。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

Ad 受容体は GPCR だよ!

受容体
サブタイプ
局在刺激による結果
α1皮膚、粘膜、内臓の血管血圧↑Up
α2中枢神経
β1心臓(心筋) → 収縮心収縮力↑Up
β2気管
骨格筋の血管
気管支拡張
血圧↓Down

「α1受容体」と「β2受容体」はいずれも血管に働きますが、その作用は相反していますよね。どちらも活性化させた場合、「α1受容体」による作用が大きいため総血管抵抗が上昇し、結果として血圧は上昇します。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

交感神経 節後線維への神経伝達物質が「ノルアドレナリン」であることも忘れずに!

ねこさん
ねこさん

一般的な昇圧剤には「アトロピン」があるよね?

「エフェドリン」と「フェニレフリン」、
どちらも昇圧剤として使うけど、その使い分けってどうなの?

Nekoyasiki
Nekoyasiki

アトロピンは心拍数も上げてしまうから、血圧だけを上げたいときに「エフェドリン」と「フェニレフリン」を使用するよ!
個人的には「アトロピン」を to effect で使用して改善がなければ、使用しているかな、、、

Nekoyasiki
Nekoyasiki

「フェニレフリン」は エフェドリン に比べて作用時間が短いから基本的にCRIで使用するよ!設備の少ない小さな個人病院ではエフェドリンが使いやすいかもね!

「α受容体 刺激薬」である、
「キシラジン」「メデトミジン」は鎮静薬の項で説明しますね!

拮抗薬

アドレナリン受容体 拮抗薬

  • Ad – α受容体 – 拮抗薬
    • プラゾシン( 選択的α1
    • ヨヒンビン < アチパメゾール( 選択的α2
    • フェノキシ ベンザミン( α1 & α2
  • Ad – β受容体 – 拮抗薬
    • メトプロロール( 選択的β1
    • ブトキサミン( 選択的β2
    • プロプラノロール( β1 & β2

アドレナリン作動性ニューロン 遮断薬

シナプス間隙に放出された「ノルアドレナリン」は、モノアミントランスポーターによって再度取り込まれ、シナプス小胞に蓄積されます。

レセルピン」は、シナプス小胞内への取り込みを抑制します。

神経毒性物質

神経毒性物質の作用点を、以下の3つに分けると少し覚えやすくなると思います。

神経毒性 物質

  • 神経終末に働く
    • テトロドトキシン / サキシトキシン
    • 重金属(鉛・水銀・カドミウム)
    • ボツリヌス毒素
  • シナプス間隙に働く
    • 有機リン/カルバメート/有毒ガス
  • シナプス後膜に働く
    • d- ツボクラリン

神経終末に働く 毒性物質

海産物による毒性物質である「テトロドトキシン(フグ毒)」や「サキシトキシン(麻痺性貝毒)」は、神経終末のNa+チャネルを阻害することによって神経伝達を阻害します。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

ちなみに、毒カエルによる「バトラコトキシン」は、神経終末のNa+チャネルを”持続開口”して神経毒性を引き起こすよ!

「重金属」は神経伝達物質の放出に関与している 電位依存性Ca2+チャネル を阻害します。これらの重金属はチャネルのチオール基に結合することでその機能を阻害しています。

ボツリヌス毒素」は神経筋接合部の神経終末に存在する受容体に結合した後、神経伝達物質が含まれている シナプス小胞 に取り込まれて、神経伝達物質の放出を抑制します。結果として筋肉は”弛緩”します。

シナプス間隙に働く 毒性物質

「有機リン」「カルバメート」「有毒ガス」は、シナプス間隙のアセチルコリンを分解する「コリンエステラーゼ(ChE)」を阻害することによって神経毒性を引き起こします。

有毒ガスの代表例には「サリン」や「VXガス」があり、「有機リン」同様に ChE を不可逆的に阻害するためその作用は強力になります。

Nekoyasiki
Nekoyasiki

上記に上げたような有毒ガスも、有機リン同様にChEを阻害することを忘れずにね!

シナプス後膜に働く 毒性物質

d- ツボクラリン」は、シナプス後膜に存在する ニコチン受容体 を阻害することによって神経伝達を阻害します。

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