71回 A問題 問80
難易度:難
- 牛の胎盤排出には通常 24 ~ 36 時間を要する。
- 馬では陣痛が近づくと乳頭に蝋様物(ヤニ)が付着する。
- 豚の胎子は通常尾位で生まれる。
- 犬では正常分娩の前に緑色の排泄物がみられる。
- 猫の臍帯は胎子産出時に自然に切れる。
正解:2
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆☆
牛の胎盤排出には通常 3 〜 6 時間を要する。
これが12時間を超えると「胎盤停滞」になります。
牛では、陣痛の前兆が「広仙結節靭帯の弛緩」と「乳汁の不透明化」が起こります。開口期の外部兆候は未経産牛で強く出て、時間も長い特徴があります。
重要度:☆
馬では陣痛が近づくと乳頭に蝋様物(ヤニ)が付着する。
へぇ知らなかったな!
他の動物種にもこんなイベントがあったら、わかりやすいのになぁ。
重要度:☆
豚の胎子は通常尾位で生まれる。
獣医繁殖学第4版には、頭位・尾位まちまちと書いています。
そんなん知らんよな。
重要度:☆☆☆
犬では正常分娩の後に緑色の排泄物がみられる。
犬の後産は緑色をしています。
犬での分娩前兆候として特徴的なのは「巣作り行動」ですよね。
重要度:☆
猫の臍帯は胎子産出時に自然に切れない。
臍帯は自然には切れないので、
犬でも猫でも母親が噛み切ります。
解説
分娩の流れ
①開口期
いわば、分娩の為の準備期間で「産道の形成」が行われ「陣痛」が起こります。
②産出期
子宮頸管が完全に開き、胎児が産出されるまでの期間です。胎児が産道を通ると母体からオキシトシンが分泌されさらに子宮が収縮します。
足胞とは?
尿膜の破水(一次破水)が起こったあと、可動性のある羊膜が産道から出てきます。これを「足胞」といいます。こうして足胞の露出のあと羊膜が破裂し(二次破水)いよいよ胎児が出てきます。
③後産期
その後、胎盤(や、その他諸々)が排出されるまでの期間です。
12時間を越えても胎盤が排出されない場合を「胎盤停滞」といいます。
分娩のメカニズム(ホルモン)
はじめに胎児からのACTHによる大量の副腎皮質ホルモンが分泌されます。
それにより胎盤からのエストロジェン・プロスタグランジンF2α分泌が促進し、
卵巣からの「リラキシン」との協力を経て産道を弛緩させます。
また、エストロジェンの分泌促進により母体子宮筋のオキシトシン感受性が上昇し収縮運動が開始します。これが「陣痛」の原因です。
分娩によって子宮頸の拡張刺激されると、
更にオキシトシンが分泌され、
PGF2αと協力して子宮筋を収縮させます。
すべての始まりは胎児側の「副腎皮質ホルモン」であり、
産道の弛緩には「エストロジェン」「PGF2α」「リラキシン」が
子宮筋の収縮には「エストロジェン」「PGF2α」「オキシトシン」が関わっています。