溶血性黄疸のみられる疾患はどれか。

過去問

74回 A問題 問43

難易度:易

溶血性黄疸のみられる疾患はどれか。
  1. 胆石症
  2. 急性型犬糸状虫症(大静脈症候群)
  3. 犬のバベシア症
  4. アフラトキシン中毒
  5. 肝蛭症

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆
胆石症

重要度:☆☆☆
急性型犬糸状虫症(大静脈症候群)

重要度:☆☆☆
犬のバベシア症

重要度:☆
アフラトキシン中毒

重要度:☆
肝蛭症

黄疸を理解しよう!

どうして、粘膜が黄色くなるのでしょうか?

結論、血中に本来代謝されるべき「ビリルビン」が蓄積してしまうことによります。

このビリルビンが蓄積するのには原因には、
「肝前性」
「肝性」
「肝後性」

の3つのタイプがあります。

ビリルビンが作られるメカニズム

まずは、どうやってビリルビンが代謝されているかを理解しましょう!

血中

ビリルビンの起源は赤血球のヘモグロビンです。ヘモグロビンが代謝されて、「ビリルビン」が生成されます。

ヘモグロビンは、「ヘム」と「グロビン」に分解、さらに「グロビン」は「鉄」と「ビリルビン」に分解されます。

鉄は、その後再吸収されます。このビリルビンは、血中でアルブミンと結合し肝臓へ運ばれます。

肝臓内での反応

肝臓では、親水化処理(抱合)されます。抱合されると、排出のため十二指腸へと流れていきます。

腸内での反応

腸内に流れた抱合型ビリルビンは、腸内細菌の代謝を受けて「ウロビリノーゲン」を経て「ウロビリン」となります。このウロビリンこそがウンチの色となります。

肝前性黄疸

黄疸の原因となる物質は「ビリルビン」で、その供給源は赤血球に含まれる「ヘモグロビン」です。

そのヘモグロビンが沢山、血中に溢れてしまったらどうなるでしょうか?

当然、肝臓での代謝のキャパシティを超えてしまうため、血液中に残ってしまうことになります。これこそが「肝前性黄疸」の病態となります。

別名:溶血性黄疸とも呼ばれます。想像しやすいですよね。

有名な疾患を理解しよう!

「免疫介在性溶血性貧血」「レプトスピラ」「バベシア症」を考えましょう!

肝性黄疸

肝性黄疸というだけあって、肝臓の機能が低下したため、
肝臓での代謝のキャパシティが小さくなってしまうために、血中に残ってしまうことが原因です。

有名な疾患を理解しよう!

代表的なのが「急性肝炎」「肝硬変」ですが、肝臓の機能が低下するのはかなり重度な場合で、臨床的に遭遇することはほとんどないのが現状です。

肝後性黄疸

最後の肝後性黄疸は、
ビリルビンの排出がうまくできないために血液中に逆流しているのが原因です。

有名な疾患を理解しよう!

「胆管閉塞」「膵炎」

犬の総胆管は主膵管と合流して大十二指腸乳頭から開口します。膵臓の炎症により総胆管を圧迫し、胆汁の通過を阻害することがあります。