牛の第四胃変位に関する記述として正しいのはどれか。

過去問

73回 B問題 問57

難易度:易

牛の第四胃変位に関する記述として正しいのはどれか。
  1. 泌乳末期の過肥牛に好発する。
  2. 第四胃液の逆流によって代謝性アシドーシスを呈する。
  3. 聴打診での拍水音の聴取によって診断する。
  4. 外科手術後の再発がしばしば問題となる。
  5. 水、電解質の異常は大量の輸液または高張食塩水の投与によって補正する。

選択肢を吟味しよう!

重要度:☆☆
分娩後1ヶ月間の乳牛に好発する。

第四胃変位の多発する時期は「分娩後1ヶ月間」です。

重要度:☆☆☆
第四胃液の逆流によって代謝性アルカローシスを呈する。

胃液を吸収できないことによる、低Cl血症に陥ります。
それに対して体は重炭酸を増やして total anion(負のイオン)を調整しようとしますが、重炭酸が増えたことで「代謝性アルカローシス」に陥ります。

なので「重炭酸」の投与は禁忌です。

重要度:☆☆☆
聴打診でのピング音の聴取によって診断する。

左側に変位した第四胃の中のガスによって「有響金属音(ピング音)」が聞こえてきます。

重要度:☆
外科手術後の再発がしばしば問題となる。

牛の第四胃変位は左に変異することが多いですが、手術は右側から切開し、左にある第四胃を正しい位置(右側)に持ってきて固定する外科手術が一般的です。

第四胃を腹壁に固定すれば、再発は起こしにくいでしょう。

治療の1つに「ローリング法」があります。
ローリング法は、右側が下→仰臥位→左側が下の順に回転させることで胃を元の位置に戻そう!というのが狙いです。

注意ですが、第四胃右方変異では捻転を引き起こす可能性があるため禁忌です!!!

重要度:☆☆☆
水、電解質の異常は大量の輸液または高張食塩水の投与によって補正する。

血液中のpHが上昇する(H+が増える)と「低カリウム血症」に陥ります。
また乾物摂取量が低下と吸収障害により「低カルシウム血症」が起こってきます。

つまりは、何でも電解質が軒並み低下してしまうため、その電解質を補ってあげるのが治療の1つになります。でも結局は「外科手術」が一番重要です。それまでの繋ぎが補液なわけです。