ヘキサメトニウムによる神経節遮断の効果として正しいのはどれか。

過去問

71回 A問題 問30

難易度:難

ヘキサメトニウムによる神経節遮断の効果として正しいのはどれか。
  1. 心拍数増加
  2. 血圧下降
  3. 縮瞳
  4. 唾液分泌亢進
  5. 消化管運動亢進

選択肢を吟味しよう!

解答のポイント:
各臓器は基本的に「副交感神経」が優勢に働いています。
スキサメトニウムはその電気活動を抑制する結果、交感神経作用が全面に出てきます。

重要度:☆☆☆
心拍数増加

重要度:☆☆☆
血圧下降

重要度:☆☆☆
散瞳

交感神経作用として、散瞳します。

重要度:☆☆☆
唾液分泌抑制

交感神経作用として、唾液の分泌量が低下します。

重要度:☆☆☆
消化管運動抑制

交感神経作用として、消化管運動が低下します。

解説

「ヘキサメトニウム」は神経節(NN受容体)遮断薬で「交感神経」と「副交感神経」の両方を阻害します。

両方阻害されたら、効果を打ち消しあって何も起こらないのでは??
と思いましたが、

両方の作用は均等には起こりません。。。は?!

実は各器官によって、交感神経と副交感神経のどちらが優位なのか、その比重は異なります。

ほとんどの器官において正常時に優位に働くのは「副交感神経」となっています。
そのためヘキサメトニウムで神経節を遮断すると交感神経作用が強く出ます。

しかし例外があって、
「血管」「汗腺」正常時「交感神経」優位となっているため、ヘキサメトニウムの投与によって逆に副交感神経作用が強く出ます。

要するに血管が拡張し「血圧が低下」、汗の分泌が「低下」することになります。

アセチルコリン受容体遮断薬 まとめ

本来のリガンド種類受容体遮断薬遮断の特徴
アセチルコリンニコチン
受容体
神経節
NN受容体
ヘキサメトニウム交感神経
副交感神経
を阻害
神経-筋
接合部
NM受容体
d−ツボクラリン
パンクロニウム
競合性遮断により
筋弛緩
サクシニルコリン
デカメトニウム
脱分極性遮断により
筋弛緩
ムスカリン
受容体
各臓器
に発現
アトロピン
スコポラミン
パパベリン
副交感神経
だけを阻害

コリン作動薬 まとめ

  • ベタネコール
  • カルバコール
  • ピロカルピン

これらはアセチルコリンと異なり、コリンエステラーゼ感受性を持たないので分解されにくい特徴があります。

さらに神経伝達物質としての作用(ニコチン様作用)ではなく、副交感神経作用(ムスカリン様作用)がメインです。要するにニコチン受容体への感受性は小さいということです。

コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬 まとめ

医薬品としてのChE阻害薬

  • フィゾスチグミン
  • ネオスチグミン

殺虫薬としてのChE阻害薬

  • カーバメート剤(カルバリル)
  • 有機リン剤(パラチオン マラチオン サリン)

アセチルコリンの分解を抑制することで、作用を増強することができます。