本記事は、獣医師国家試験の出題基準を一から解説しようとする一大プロジェクトの「呼吸器系」編 第1弾です。
呼吸器
外鼻・鼻腔・副鼻腔
「外鼻」は外見上の”鼻”で、例えばウシでは個体識別として利用されたり(「鼻紋」)、豚では円盤状で可動性のある鼻(「吻鼻」)が特徴的です。
「鼻腔」は「外鼻孔」から「篩骨篩板」までをいい、「鼻中隔」により左右を分けられています。「鼻腔」の内部には「鼻甲介」と呼ばれる複雑な構造物が占めています。

鼻を強打すると、鼻が曲がるよね。
これは「鼻中隔」が変形した結果なんだよ!
「鼻甲介」は鼻腔を区分して「鼻道」を形成します。「鼻道」は4つあり、嗅覚に関わる部分を「背鼻道」、副鼻腔と交通する部分を「中鼻道」、最も広く呼吸に関わる空気の通り道である「腹鼻道」、すべての鼻道と交通している「総鼻道」があります。

鼻カテーテルが通る部分は「腹鼻道」と「総鼻道」の間だよ!
「副鼻腔」は、鼻腔内の空気で満たされた憩室にす。
咽頭・喉頭
「咽頭( Pharynx )」は気管と食道の分岐部を、
「喉頭( Larynx )」は咽頭から気管側の部分で”下気道の入口”と同時に”発声”を司る場所となります。
咽喉頭を形成する軟骨は主に4つで構成されています。
咽喉頭を形成する軟骨 まとめ
「喉頭蓋軟骨」は嚥下時に気管に食物が入らないように塞ぐ役割があります。咽喉頭を形成する軟骨の中で唯一の「弾性軟骨」です。
「甲状軟骨」「披裂軟骨」「輪状軟骨」は「硝子軟骨」で構成されています。
「甲状軟骨」は喉頭に壁・床を形成し、「披裂軟骨」対をなして喉頭の屋根を形成、「輪状軟骨」は気管への導入部分を形成しています。

内視鏡で喉を見た時に、
左右に対をなして飛び出ているのはこの「披裂軟骨の小角突起」ですよ!

特徴的な構造
一つは馬に特徴的な「喉嚢(耳管憩室)」です。
耳の構造には「外耳」「中耳」「内耳」の3つの領域に分かれています。なかでも「中耳」は「耳管」で「鼻腔」と繋がっています。馬を代表として奇蹄類の動物には、耳管が一部拡張した領域が存在し、それを「喉嚢」をいいます。

馬の鼻出血を特徴とする「喉嚢真菌症」はめっちゃ有名ですよね!