本記事は、獣医師国家試験の出題基準を一から解説しようとする一大プロジェクトの「神経系」編の第2弾です。
ニューロン
神経細胞 構成
神経細胞は「樹状突起」「細胞体」「軸索」の3つに大別することができます。
「樹状突起」は他のニューロンから刺激受ける(入力される)場所です。
「神経細胞体」は神経伝達物質を合成する場所になります。そのためか核小体が明瞭で細胞小器官も発達しています。神経細胞体で見られる「ニッスル小体」は細胞内小器官の集合体になっています。


神経細胞そのものを「ニューロン」というよ!
軸索が伸びる部分には「ニッスル小体」が分布せず白く抜ける部分があり、「軸索丘(起始円錘)」と呼びます。
「軸索」は神経細胞体から伸びる構造物で、電気的刺激を次の神経細胞や効果器に伝える出力部分です。
神経細胞 構成
基本的な構造は上記のとおりですが、軸索の本数や樹状突起の形態によって名称が変化します。
「単極神経細胞」は突起(軸索)が一本のみで樹状突起を持ちません。
「双極神経細胞」は2本の突起があり、一つが樹状突起、一つが軸索になります。
「偽単極神経細胞」は突起が1本にですが、T字状に分岐します。一方が樹状突起として刺激を受容し、もう一方は軸索として刺激を送ります。このように電気的な刺激は一方通行なので”単極”の神経細胞に分類されます。

末梢の感覚を中枢に伝える「後根神経細胞」が「偽単極神経細胞」になっているよ!めっちゃ重要だから覚えてね!
最も一般的なのが「多極神経細胞」になります。これは樹状突起が複数あり、軸索が1本伸びています。多くの樹状突起から興奮性や抑制性の刺激が同時に伝達し、そのトータルの電位(差し引きの結果の電位)が”ある閾値”を超えるかどうかで刺激が入るかどうかが変わります。
グリア細胞
神経細胞 構成
「星状 膠細胞」は神経細胞の支持、栄養供給の役割をもつ、最も大きく、最も数が多い細胞です。
「希突起 膠細胞」は中枢神経細胞体への「髄鞘」形成をする役割があります。あくまで中枢神経における「髄鞘」形成の細胞なので、末梢神経では名称が異なりますよ!
「小 膠細胞」はいわば掃除係になります。
「上衣 細胞」は脳室系の壁を構成して「脈絡叢」を形成して脳脊髄液(SFC)を作ります。

中枢神経と末梢神経で活躍する細胞の名称が変化するので注意してね!
末梢神経において「髄鞘」形成をするのは「鞘細胞(シュワン細胞)」で、神経細胞の支持・栄養供給を行うのは「神経節 膠細胞(外套細胞・衛星細胞)」といいます。
シナプス
ニューロンとニューロンの間、
ニューロンと効果器の間は「シナプス」を介してつながり、膜電位が「伝達」されます。

1つのニューロンの 樹状突起や細胞体から軸索に沿って膜電位の変化が活動電位として伝わることを「伝導」というよ!
ニューロン – ニューロン(or 効果器)との間には「シナプス間隙」があり、
情報の送り手となるのが「神経終末」の「シナプス前膜」、情報の受け手が「シナプス後膜」となります。シナプス後膜になるのは「樹状突起」だけでなく「神経細胞体」の細胞膜になる場合もあります。
シナプスをする場所は、
「樹状突起」「神経細胞体」「軸索」のいずれでも可能です。

分かりやすいように「軸索 – 樹状突起シナプス」で表現しているよ!

「シナプス」の伝達形式には「電気シナプス」と「化学シナプス」の2つが存在しています。
「電気シナプス」は「シナプス間隙」がほとんど空いておらず、「ギャップ結合」によって膜電位変化が遅延なく伝達されます。心筋や平滑筋においての協調的な筋収縮と同じようなシステムです。
一方で「化学シナプス」では、「神経伝達物質」が「シナプス後膜」の受容体に作用することによって間接的に膜電位変化が生じます。伝達が一方通行なため、情報の流れを制御しやすく複雑な情報処理を可能にしています。

「シナプス後膜」は樹状突起だったり細胞体になることあるよ!!
「神経伝達物質」は「シナプス 前膜」の「シナプス小胞」に濃縮して存在しています。
シナプス後電位
上記のように「化学シナプス」の場合は、
「神経伝達物質」によって「シナプス後部」の膜電位が変化します。
このときシナプス後部を脱分極させる(電位を上げる)場合を「興奮性シナプス後電位 ( EPSP )」、逆にシナプス後部を過分極させる(電位を下げる)場合を「抑制性シナプス後電位 ( IPSP )」といいます。
加重
多くの場合、ニューロンは単発の「興奮性シナプス後電位(EPSP)」だけでは興奮せず、活動電位を発生させません。しかし、時間的 あるいは 空間的に、複数のEPSPが”加重”されることで膜電位の変化が総和され、閾値に達すると活動電位が発生します。
「時間的 加重」は適切な時間間隔で繰り返し刺激されることによって、興奮性シナプス後電位(EPSP)が時間的に加重されて大きくなる現象を指します。
「空間的 加重」は複数の神経が収束し、それぞれの神経からの刺激によって発生する興奮性シナプス後電位(EPSP)が加重される現象をいいます。
この仕組みにより、シナプス伝達の強度が増し、ニューロンの興奮が促進されています。
情報の統合
シナプス後電位の加重(summation)は、興奮性シナプス後電位(EPSP)同士だけでなく、抑制性シナプス後電位(IPSP)同士、さらにはEPSPとIPSPの間でも起こります。
このように多数のシナプス後電位が加重され、その総和として膜電位が変化することにより、ニューロンは情報を統合し閾値に達して活動電位が発生しています。
これを「全か無の法則」といいます。

総和が活動電位に至らなかったら、刺激は伝わらないんだね!

シナプスの結合様式
「シナプス」の結合様式には以下のようなものがあります。



神経伝達物質
シナプスの中でも「化学シナプス」という伝達方法で利用されるのが「神経伝達物質」です。
受容体
「神経伝達物質」の受容体は
「イオンチャネル型 受容体」と「代謝型 受容体」に分けられます。
「イオンチャネル型 受容体」は、受容体そのものが「イオンチャネル」となり直接的にイオンを細胞内に流入させて膜電位を変化させます。
一方で「代謝型 受容体」は、いわゆる「Gタンパク質共役型 受容体」で細胞内シグナル経路を介して、間接的に他のイオンチャネルを開閉することによリ膜電位を変化させる
いずれにせよ「陽イオン」が流入した場合は、細胞内の電位が上がるため脱分極方向に、一方で「陰イオン」が流入すると過分極方向に膜電位を変化させます。

要するに「陰イオン」の流入によって脱分極を打ち消しているんだね!
「イオンチャネル型 受容体」は速い神経伝達に
「代謝型 受容体」は遅い神経伝達に関与しています。
01:グルタミン酸
「グルタミン酸」は脳内の代表的な興奮性の神経伝達物質で、脳内のシナプスの半数は「グルタミン酸」作動性になっています。受容体はイオン型も代謝型もどちらもありますが、代表的なのは「AMPA 受容体」「NMDA 受容体」です。
02:GABA
脳内の代表的な抑制性 神経伝達物質の「GABA」は上記の「グルタミン酸」からグルタミン酸脱炭酸酵素 ( GAD ) によって直接合成されます。

グルタミン酸の代謝産物なのに、反対の作用なのが興味深いよね!
代表的な受容体である「GABAA受容体」は精神神経系に作用する薬剤の標的として重要です。
例えば「ベンゾジアゼピン系」は開口頻度を上げることによってGABAA受容体の活性を高め、「バルビツール系」はGABAA受容体チャネルの開口時間を延長させます。

抑制性の神経伝達物質は「GABA」と「グリシン」だよ!
脳では多くが「GABA」が、脊髄では半分ずつ程度なんだって!
03:アセチルコリン
「アセチルコリン(ACh)」は「コリン」と「アセチルCoA」から合成され、「アセチルコリン エステラーゼ(AChE)」によって分解されます。分解産物の「コリン」は再びシナプス終末に取り込まれ「アセチルコリン」に再合成されます。
「イオンチャネル型 受容体」の代表例は「ニコチン性受容体 ( nAChR )」で「自律神経系(交感神経の節後線維”以外”)」や、運動神経の「神経 – 筋接合部」に分布しています。
「代謝型 受容体」である「ムスカリン性受容体 ( mAChR )」は自律神経系の効果器によくみられます。
AChE を阻害する薬物
「アセチルコリンエステラーゼ(AChE)」は、薬剤の作用点として重要です。
例えば「エドロホニウム(テンシロン)」は、
AChEを阻害し、神経筋接合部の「アセチルコリン」濃度を上昇させます。
これは「重症筋無力症」の診断薬として使用されます。

「有機リン農薬」「サリン」は同じように 強力なAChE阻害によりアセチルコリンが蓄積するよ!強すぎるがあまり副作用が大きいんだね!!!
04:ドーパミン
「チロシン」から「ドーパ」を介して「ドーパミン」が合成されます。
「ドーパミン」作動性のニューロンは「中脳」と「視床下部」に存在しており、受容体は「代謝型」のみです。
05:アドレナリン・ノルアドレナリン
「ノルアドレナリン」作動性ニューロンは、末梢では交感神経節後ニューロンとして中枢では「橋」の「青斑核」に存在します。「アドレナリン」作動性ニューロンは、末梢では交感神経節後ニューロンとして中枢では橋や延髄に存在します。
受容体は「代謝型」でGPCRになります。

お互いに共通の受容体に結合するため「アドレナリン受容体」として一括されているよ!
06:セロトニン
「セロトニン」は「トリプトファン」から合成されます。
受容体はほとんど「代謝型」のGPCRですが、例外として「5 – HT3」は「イオンチャネル型」になります。
抗うつ薬の多くは「選択的セロトニン取込み阻害剤 ( SSRI ) 」であり、「セロトニン」作動性ニューロンの効果を増強させます。
また化学受容器引き金帯の「5 – HT3」を阻害する「グラニセトロン」「オンダンセトロン」は制吐薬として機能しています。
神経伝達物質ではないのはどれか。
- 一酸化窒素 ( NO )
- カンナビノイド
- ATP
- ヒスタミン
- コルチゾール
5が正解です。
運動系伝導路と制御
随意運動を行うためには、「大脳皮質 運動野」からの出力が「脊髄」を通過して末梢の「骨格筋」に伝わることで実現します。
大脳皮質へのフィードバック
このとき「運動野」からの出力は、
① 運動野間 ② 他の大脳皮質 ③ 大脳基底核・小脳 からフィードバックを受けていています。
① 例えば「前 運動野」や「補足 運動野」など、さまざまな「高次 運動野」が見つかっており、運動野 全体でお互いに線維連絡をとり最終的に「一次 運動野( MI )」が主に脊髄へと出力をしています。
② 「一次 体性 感覚野( SI )」が「一次 運動野( MI )」に触覚や圧感覚や固有 位置感覚などの情報を提供しています。
③ 「大脳基底核」や「視床」には「大脳皮質 運動野」のほぼ全てから入力を受け、それぞれからの出力は「視床」を介して「高次 運動野」と「一次 運動野( MI )」に戻ります。
「小脳」に入る前には「小脳前核群(橋核・網様体・下オリーブ核)」が中継します。このうち「橋核」「網様体」は「苔状 線維」で小脳に入力、「下オリーブ核」は「登上 線維」を介して小脳に送っています。

小脳からの出力は大脳皮質ニューロンを効果的に興奮させるのに対して、大脳基底核からの出力は大脳皮質の興奮性を”調節”して間接的な影響を与えているみたい!
脊髄への下行性投射
「大脳皮質 運動野」からの出力は ① 皮質脊髄路 ② 赤核・網様体 を介した経路 があります。

その中でも、皮質脊髄路(corticospinal tract) は最も重要な経路だよ!
① 「皮質 – 脊髄路」は内包、大脳脚、橋核の間を抜けて延髄へ至ります。延髄で「錐体」を形成されるため、この経路「錐体路」と呼ばれています。
延髄から「脊髄」に入る軸索は大部分が「錐体 交叉」により正中を越えて”反対側”の「脊髄”側索”」を下降します。この経路を「外側 皮質 – 脊髄路」といいます。側索を降りてきた軸索は、適切な部分で灰白質に入って運動ニューロンや介在ニューロンとシナプスして、四肢の遠位部の特に巧級性の高い手指の細かな運動に関係しています。
「錐体交叉」で交叉しなかった軸索は「前 皮質 – 脊髄路」として、そのまま前索を通過します。この経路は四肢の近位部・体感の大雑把な動きに関係しています。

だから、大脳皮質は反対側の身体の運動を制御することになるんだね!
② 「脳幹」の核である「赤核」や「網様体」を介して脊髄に送っている経路をそれぞれ「01:皮質 – 赤核 – 脊髄路」「02:皮質 – 網様体 – 脊髄路」といいます。
「01:皮質 – 赤核 – 脊髄路」は側索を通過して、四肢の遠位部の運動に、
「02:皮質 – 網様体 – 脊髄路」は前索を通過して、四肢の近位部や体幹の運動に関与しています。

手先が器用ではない動物では「皮質 – 赤核 – 脊髄路」が発達しているよ!
外側路と内側路
脳幹から脊髄へ至る経路は、通る経路によって外側路(lateral pathway) と内側路(medial pathway) に大別されます
脊髄の「側索」を通る経路であり、「外側 皮質 脊髄路」や「赤核 脊髄路」が含まれます。
これらの線維は主に脊髄「前角」の背外側部に終止し、四肢遠位部の運動(特に精密運動)を担っています。
脊髄の「前索」を通る経路であり、「網様 体脊髄路」や「前 皮質 脊髄路」「前庭 脊髄路」などが含まれます。
これらの線維は主に脊髄「前角」の腹内側部に終止し、四肢近位部や体幹の運動を担当します。
感覚系伝導路
脊髄への上行性投射
「脊髄」の「後根」に存在する「後根 神経節」に感覚神経の細胞体「偽 単極 神経細胞」が存在し、一方を末梢【効果器】、もう一方を中枢【脊髄】に伸びています。
当然、末梢側からの感覚神経の軸索は「後根」を経由して、脊髄「後角」の神経細胞体に一旦シナプスします。そこから大体「前側索」を上行して中枢へ向かいます。

①「後索 – 内側毛帯路」は、後角でシナプスせずに他の軸索に合流して上行するよ!
感覚野までの上行性投射
脊髄を上行し、体性感覚情報を上位中枢に伝える伝導路のうち、主要なものは
① 後索 – 内側毛帯路 ② 脊髄 – 視床路 ③ 脊髄 – 網様体 – 視床 -路 ④ 脊髄 – 中脳路 ⑤ 三叉神経系の経路 の4つです。
① 「後索 – 内側毛帯路」は、骨格筋や関節からの位置感覚を中枢に送ります。脊髄を上行した軸索は延髄レベルで「楔状束核」「薄束核」に到達、交差して「内側毛帯」を通り「視床(後外側腹側核)」を介して、最終的に「大脳皮質 感覚野」に終わります。
② 「脊髄 – 視床路」は触覚・温度覚・痛覚を伝える重要な経路です。この路では脊髄レベルで直ちに交叉して、前側索を上行して「視床」に到達します。

前側索が切断されると、反対側の温度覚・痛覚が消失するよ!触覚は①にも通っているから、完全には消失しないよ!
③ 「脊髄 – 網様体 – 視床 -路」は、前側索を上行して「網様体」を経由してから「視床」に入る路をいいます。この路は、「視床下部」や「辺縁系」に入力し、情動やストレス反応に関与します。
④ 「脊髄 – 中脳路」は、前側索を上行して「中脳」の灰白質に到達して、最終的に「扁桃体」に至ります。

感覚系の入力されるのは「視床」の「腹側 基底核 群」だよ!代表例が、後外側腹側核だよ!
反射弓
「反射」とは受容器の刺激によって引き起こされた興奮が中枢神経系を経由し、意識とは無関係に筋や分泌腺などの効果器の反応を引き起こす現象です。
「反射」は特定の経路「受容器」→「求心路」→「反射中枢」→「遠心路」→「効果器」を通って伝達され、この経路を「反射弓」と呼びます。

神経系の基本的な役割は入力された感覚情報を運動指令に変換し出力することだから、その最も単純な形態が「反射」だといえないかな?
「反射」には、中枢神経系【脊髄】に入ってきた求心線維がシナプスを1回だけして直接 運動ニューロンに伝わる「単シナプス反射」と、複数のシナプスを介して運動ニューロンに伝わる「多シナプス反射」の2種類があります。

「単シナプス反射」で有名なのが「伸張反射」で具体的には「膝蓋腱反射」があるね!
おまけ
前肢の脊髄反射
- 橈骨手根伸筋反射・・・橈骨神経
- 三頭筋反射・・・橈骨神経
- 二頭筋反射・・・筋皮神経
後肢の脊髄反射
- 膝蓋腱反射・・・大腿神経
- 前脛骨筋反射・・・坐骨神経の腓骨神経
- 腓腹筋反射・・・坐骨神経の脛骨神経
その他の脊髄反射
- 引っ込め反射
- 交叉伸展反射
- 会陰反射
- 皮筋反射
※赤色は、再現性が高いので絶対に行う
血液 – 脳関門と脳脊髄液
中枢神経系は、骨に囲まれ、「脳脊髄液 (CSF)」 に満たされた空間の中に浮かんでいます。
脳脊髄液
「脳 脊髄液」は脳室の「脈絡叢」で「血液」を素に作られます。脳の毛細血管には「血液 脳 関門(BBB)」が存在し、組成が調整され安定しています(恒常性を保っています)。

「脈絡叢」は血管が豊富なんだよ!
「脳脊髄液」は、主に脳室系と「クモ膜下腔」を循環します。
「くも膜下 腔」には「硬膜」側に突出する「くも膜 顆粒」が存在し、脳脊髄液の回収が行われています。
「脳脊髄液」の量は常に一定に保たれていますが、どこかで通過障害があると異常に「脳脊髄液」が貯留し、脳圧が上がり神経症状を呈する可能性があります。これを「水頭症」といいます。
3. 血液脳関門 (BBB)
「血液 脳関門(BBB)」は脳の毛細血管の「内皮細胞」が「密着結合(タイトジャンクション)」) とその周囲を取り囲む「星状 膠細胞」の「足突起」によって作られます。
この関門によって不要な物質の流入を防ぎ、恒常性を保つための機構です。

ガス・アルコール・”脂溶性”薬剤は流入しちゃうけどね、、、
「松果体」「下垂体後葉」「視床下部」は、ホルモン分泌や血液成分のモニタリングを行うため、血流との直接的な物質交換が必要で「血液 脳関門」を持ちません。
情動と本能行動
例えば、自分より大きな怪物が現れたとき、「恐怖」という情動によって逃げるという逃避行動を起こしたり、あるいは同程度の敵に対しては「怒り」という情動によって闘争行動を起こしたりします。
逆にその逃避行動や闘争行動によって怪物や敵が消えて「”不”快 情動」がなくなることもありますよね。
このように「情動」によって「行動」を引き起こすこともあれば、「行動」によって「情動」が生まれたり消えるケースもあり、「情動」と「(本能)行動」は密接に関わっています。
01:情動 → (本能)行動
一般的に動物の情動の多くは恐怖や怒りのような「不快 情動」だと考えています。
このような「不快 情動」は「大脳辺縁系」の「扁桃体」が関わっており、「扁桃体」から「視床下部」に連絡し「本能行動」を引き起こします。
「視床下部」は「本能行動」を引き起こすと同時に「自律神経」の中枢でもあるので、上記の例では交感神経系が活性化し、瞳孔の散大や心拍数の上昇が引き起こされます。

ちなみに「”不”快 情動」に関与する神経伝達物質は「アセチルコリン」、反対に「快 情動」に関与するのはカテコールアミン系の「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」だと考えられているよ!
02:(本能)行動 → 情動
「本能行動」によって生じる「情動」は「快 情動」と「”不”快 情動」の2つに分けられます。
「快 情動」が生じる場合を「報酬 系」、反対に「”不”快 情動」が生じる場合を「嫌悪 系」といいます。
いずれにせよ「視床下部」を中心に起こる「報酬 系」や「嫌悪 系」は、「大脳 辺縁系」の「海馬」に伝えられ「記憶」されます。この「海馬」は、同じく大脳辺縁系にあって「”不”快 情動」に関与する「扁桃体」とお互いに連絡しています。

海馬からの記憶によって「不快 情動」が増強したり、減少してむしろ「快 情動」になることもあるんだろうね!
神経の生理学
神経線維
数字分類は「感覚神経」だけの分類なので、分けて表にしました。
髄鞘 | 文字 分類 | 遠心性神経 | 数字 分類 | 求心性神経 | |
---|---|---|---|---|---|
運動神経 | 自律神経 | 感覚神経 | |||
有 | Aα | 骨格筋へ (α運動神経) | ー | Ⅰa | 筋紡錘 |
ー | Ⅰb | ゴルジ腱 | |||
Aβ | ー | ー | Ⅱ | 触覚 圧覚 | |
Aγ | 錘内筋へ (γ運動神経) | ー | ー | ー | |
Aδ | ー | ー | Ⅲ | 痛覚 温度覚 | |
B | ー | 節前神経 | ー | ||
無 | C | ー | 節後神経 | Ⅳ | 内臓感覚 痛覚 ( 鈍痛 ) |
神経線維の太さ
神経線維の太さは、
A線維が最も太く、C線維が最も細いことになります。

太い神経ほど虚血や圧迫の影響を受けやすいよ!
神経の太さ
A > B > C線維
神経線維の伝達の速さ
神経伝導速度に関しては、
神経線維が太いほど速い!(跳躍伝導による)ので、
A線維が最も速く、C線維が最も遅いわけです。
神経の伝達の速さ
A > B > C線維