ポイント
胎盤には面倒なことに分類分けが2種類存在します。一つは「絨毛膜絨毛の分布」による分類、2つ目は「絨毛膜と子宮内膜との接触様式」による分類です。
いずれの分類も重要なので絶対に覚えて下さい!
絨毛膜絨毛の分類
絨毛膜は胎児側の胎盤の主体をなすものですから、絨毛膜”絨毛”とは、絨毛膜に生えている絨毛ということになります。
胎児は母側から栄養供給してもらう必要がありますよね。つまりは、この絨毛(絨毛膜絨毛)によって母側の子宮内膜と接合し、母から栄養を供給している!ということですな。
この絨毛膜絨毛の分布による分類では、胎児を覆っている絨毛膜のどこに絨毛が存在するかによって分類しています。
散在性胎盤
この胎盤は、絨毛が絨毛膜のほぼ全面に散在しています。
ウマでは、絨毛が絨毛膜の全面に存在しているため「完全散在性胎盤」と呼ばれています。
一方ブタでは、胎嚢の両端が突出しており、この部分には絨毛が存在していないため「”不”完全散在性胎盤」と呼びウマと区別しています。
叢毛性胎盤
この胎盤は、絨毛がいくつか部分的に発達しています。この部分を「子宮小丘」といいます。
ウシ、ヒツジ、ヤギなどの反芻類はこの胎盤に属します。
帯状胎盤
この胎盤は食肉類にみられ、名前通り絨毛が帯状に、まるでベルトのように分布しています。
(まぁ本物のベルトみたいに細くないですが、、、笑)
盤状胎盤
盤状胎盤は、絨毛膜絨毛が限られた部分でのみ円盤状に母側の子宮内膜と付着します。
この胎盤は、霊長類、げっ歯類、ウサギにみられます。
接着様式による分類
胎児側の胎盤は3層構造をしており「胎児絨毛上皮」「胎児結合織」「胎児血管内皮」に分けられます。同じように母体側の胎盤も「子宮内膜上皮」「母体結合織」「母体血管内皮」の3層構造です。
胎児側はほぼ絨毛が母側に付着しますが、母側は動物ごとに変わります。
その「母ー胎児」との接着様式によって分類しています。
上皮-絨毛性胎盤
ウマ、ブタでは母体側が「子宮内膜上皮」、胎児側が「絨毛(上皮)」となっています。
結合織-絨毛性胎盤
ウシでは母体側が「結合織」、胎児側が「絨毛(上皮)」となっています。
内皮-絨毛性胎盤
食肉類では母体側が「血管内皮」、胎児側が「絨毛(上皮)」となっています。
血-絨毛性胎盤
これは少し特殊で、母側の3層が失われ、胎児の絨毛が母体の血液に浸っている状態になっています。
この胎盤をもつのは、霊長類、げっ歯類、ウサギということになります。
どうやら、霊長類やウサギは「血-内皮胎盤」といって、胎児側の絨毛が露出し「胎児血管内皮」が母側の血液と接着するため「血絨毛性胎盤」とはすこし異なるようです。
しかしながら、国家試験の過去問では(68回A79問)ウサギが血絨毛性胎盤で正解になっているため同じ分類としてまとめました。
最後に
胎盤の動物種差を説明しましたが、動物の子宮にも違いがあります。
まとめたので、参考までに!
動物 | 絨毛の分布 | 胎盤の接着様式 |
---|---|---|
ウマ | 完全散在性胎盤 | 上皮-絨毛性胎盤 |
ブタ | 不完全散在性胎盤 | |
反芻類(ウシ) | 叢毛性胎盤 | 結合織–絨毛性胎盤 |
食肉類(イヌ・ネコ) | 帯状胎盤 | 内皮–絨毛性胎盤 |
霊長類 げっ歯類 ウサギ | 盤状胎盤 | 血–絨毛性胎盤 |
実地問題でも、胎盤の画像やイラストとして出題されるので覚えないとハードモードになります。