【獣医師国家試験】76回 必須 問題

問１

獣医師の行動として適切でないのはどれか。

1. 状態の悪い動物が入院していたため、雇用している獣医師１名を指名し、１週間付き切りで勤務させた。
2. 薬剤耐性菌を有する外傷症例であったため、入院は他の動物と一緒の部屋にしてほしいと言う飼い主の申し出を断った。
3. 去勢手術の予定があったが、午前中の診察が長引いたので、飼い主の同意を得て手術を翌日に延期した。
4. 自院の設備が不十分で、治療リスクが高い症例を他の適切な獣医療施設に紹介した。
5. 保険請求のため、今回治療した先天性疾患を後天的なものとして診断書を書いてほしいという飼い主の要求を断った。

問２

実験動物の福祉と倫理に関する記述として適切でないのはどれか。

1. 本来の習性に近い行動ができる環境での飼養が望ましい。
2. 疾患モデル動物では発症によって相応の苦痛が生じると考えるべきである。
3. 実験に支障を及ぼさない範囲で麻酔や鎮痛処置を行う。
4. 実験に使う動物数はできる限り少なくすべきである。
5. 麻酔薬を用いて安楽殺する場合は動物の状態にかかわらず時間をかけて投与する。

問３

養鶏場から飼養家きんの死亡が急激に増えているとの連絡があった。同事実を確認した獣医師が最初にとるべき行動として最も適当なのはどれか。

1. 同様の症状がないか、近隣の養鶏場に直行して聞き取りをする。
2. 死亡鶏を死亡獣畜取扱場に運搬するよう指示する。
3. 異常がみられない鶏を近隣の養鶏場に避難させるよう指示する。
4. 管轄の家畜保健衛生所に連絡する。
5. 死亡数が減少するまで様子を見るよう指示する。

問４

獣医療に関する記述として正しいのはどれか。

1. 急患では診療簿に診療を行った年月日のみを記載すればよい。
2. 友人の犬を私的に避妊手術した場合は診療簿の作成は不要である。
3. 診療簿には診療した動物の所有者の氏名と住所を記載する必要がある。
4. 診療簿の保管期間はすべての動物において3年間である。
5. 友人の獣医師から依頼されたため、自ら診察せずに薬を処方した。

問５

獣医師の行動として最も適当なのはどれか。

1. 診療費が払えそうにない飼い主が来院したので診療を断った。
2. 飼い主に頼まれたため、診療簿の初診日を１週間後に書き換えた。
3. 口蹄疫を疑ったが、貴重な血統の牛なので診察しなかったことにした。
4. ペットロスに苦しむ飼い主に早く忘れるべきだと叱責した。
5. 愛犬との災害時の避難について備えておくよう指導した。

問６

「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律（飼料安全法）」の対象動物でないのはどれか。

1. 牛
2. 馬
3. 豚
4. 犬
5. 山羊

問７

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）」に基づいて対象動物を診断した獣医師が届け出る義務のある感染症はどれか。

1. ペスト
2. オウム病
3. ラッサ熱
4. コレラ
5. ジフテリア

問８

特定の地域からの牛受精卵の輸入を原則として禁止している法律はどれか。

1. 「検疫法」
2. 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）」
3. 「家畜改良増殖法」
4. 「家畜伝染病予防法」
5. 「家畜保健衛生所法」

問９

日本の家畜共済制度に関する記述として正しいのはどれか。

1. 農業保険法に基づく制度である。
2. 牛の胎児は対象とならない。
3. 家畜が死亡するか廃用になった場合のみ補償の対象となる。
4. 対象家畜に鶏が含まれる。
5. 自由診療であり、診療点数は決められていない。

問１０

３か月齢の牛が急性鼓張症で死亡した。死亡牛の処理に関する記述として最も適切なのはどれか。

1. と畜場に搬入して処分する。
2. 農場の敷地内に埋却する。
3. 農場の敷地内で焼却する。
4. 産業廃棄物として死亡獣畜取扱場に搬入する。
5. 可燃物としてごみ処理施設に搬入する。

問１１

「獣医師法」に関連する記述として正しいのはどれか。

1. 獣医師国家試験に合格すればただちに獣医師を名乗ることができる。
2. 獣医師免許の登録事項変更の申請は変更を生じた日から1年以内である。
3. 診療を業務とする獣医師は正当な理由がなく診療を拒んではならない。
4. 診療を業務とする獣医師は臨床研修に努めなくてもよい。
5. 獣医師は3年ごとに氏名その他所定の事項を農林水産大臣に届け出なければならない。

問１２

「獣医師法」に基づき獣医師のみが業務として診療できるのはどれか。

1. ウサギ
2. 山羊
3. みつばち
4. コイ
5. あひる

問１３

飼育動物の診療施設に関する記述として正しいのはどれか。

1. 獣医師のみが開設者となることができる。
2. 開設した日から30日以内に農林水産大臣に届け出なければならない。
3. 消毒設備を設けなければならない。
4. 往診のみで業務を行う場合は開設届の対象とならない。
5. X線装置を使用する場合、出力が低ければ防護措置を取らなくて良い。

問１４

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律（薬機法）」に規定されているのはどれか。

1. 食品中の動物用医薬品の残留規制
2. 麻薬管理者免許に関する事項
3. 飼料添加物の表示
4. 動物用医薬品の副作用報告義務
5. 診療行為に関する広告の制限

問１５

我が国における牛海綿状脳症（BSE）の発生を受け、平成15年に制定された法律はどれか。

1. 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律（飼料安全法）」
2. 「食品表示法」
3. 「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」
4. 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）」
5. 「食品衛生法」

問１６

トルイジンブルー染色で異調染色性（メタクロマジー）を示す細胞はどれか。

1. 線維芽細胞
2. 色素細胞（メラニン細胞）
3. 形質細胞
4. 肥満細胞
5. マクロファージ

問１７

耳管憩室（喉囊）をもつ動物はどれか。

1. 牛
2. 馬
3. 豚
4. 犬
5. 鶏

問１８

近位尿細管で再吸収されないのはどれか。

1. 水
2. グルコース
3. Na^＋
4. アミノ酸
5. クレアチニン

問１９

下垂体前葉から放出されるホルモンはどれか。

1. 性腺刺激ホルモン放出ホルモン（GnRH）
2. オキシトシン
3. 副腎皮質刺激ホルモン
4. ソマトメジン
5. アルドステロン

問２０

血清中に含まれないのはどれか。

1. フィブリノーゲン
2. グルコース
3. トランスフェリン
4. アルブミン
5. クレアチニン

問２１

DNAを有する細胞内小器官はどれか。

1. リソソーム
2. ゴルジ体
3. ペルオキシソーム
4. ミトコンドリア
5. 小胞体

問２２

H₂ヒスタミン受容体拮抗薬はどれか。

1. ジブカイン
2. フェントラミン
3. ジフェンヒドラミン
4. ファモチジン
5. クレマスチン

問２３

注射用全身麻酔薬はどれか。

1. チオペンタール
2. メトプロロール
3. ハロペリドール
4. バクロフェン
5. ナロキソン

問２４

スモン（亜急性脊髄視神経症）の原因物質はどれか。

1. ストレプトマイシン
2. サリドマイド
3. キノホルム
4. ペニシリン
5. クロロキン

問２５

高カルシウム血症を併発しやすい腫瘍はどれか。

1. 副腎皮質腺腫
2. インスリノーマ
3. グルカゴノーマ
4. 肛門囊腺癌
5. 肥満細胞腫

問２６

ネグリ小体がみられるのはどれか。

1. 犬ジステンパー
2. オーエスキー病
3. マレック病
4. オウムの嘴羽毛病
5. 狂犬病

問２７

歴史上初めて発見された動物ウイルス（濾過性病原体）はどれか。

1. 鶏肉腫ウイルス
2. インフルエンザウイルス
3. 口蹄疫ウイルス
4. 狂犬病ウイルス
5. 黄熱ウイルス

問２８

ウイルスの垂直伝播はどれか。

1. 糞口感染
2. 飛沫感染
3. 接触感染
4. 飛沫核感染
5. 介卵感染

問２９

グラム陽性菌が病原体である動物の疾患はどれか。

1. 出血性敗血症
2. 気腫疽
3. 鼻疽
4. 馬パラチフス
5. 萎縮性鼻炎

問３０

真菌の有性胞子はどれか。

1. 厚膜胞子
2. 接合胞子
3. 分生子
4. 胞子嚢胞子
5. 遊走子

問３１

成虫に消化管がないのはどれか。

1. 猫回虫（Toxocara cati ）
2. ベネデン条虫（Moniezia benedeni ）
3. ウェステルマン肺吸虫（Paragonimus westermani ）
4. イヌジラミ（Linognathus setosus ）
5. クリイロコイタマダニ（Rhipicephalus sanguineus ）

問３２

日本住血吸虫（Schistosoma japonicum ）の中間宿主はどれか。

1. カワニナ
2. ミヤイリガイ
3. マメタニシ
4. ヒラマキミズマイマイ
5. ケンミジンコ

問３３

食品の国際規格基準を策定する機関はどれか。

1. コーデックス委員会
2. 国際獣疫事務局（WOAH）
3. 国際連合食糧農業機関（FAO）
4. 世界貿易機関（WTO）
5. 世界保健機関（WHO）

問３４

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）」に基づき我が国への輸入が禁止されている動物はどれか。

1. ヒトコブラクダ
2. ダチョウ
3. センザンコウ
4. コウモリ
5. アライグマ

問３５

「環境基本法」に基づいて環境基準が定められていないのはどれか。

1. 騒音
2. 振動
3. 大気汚染
4. 土壌汚染
5. 地下水の水質汚濁

問３６

環境性乳房炎の原因菌はどれか。

1. Staphylococcus aureus
2. Escherichia coli
3. Corynebacterium bovis
4. Streptococcus agalactiae
5. Mycoplasma bovis

問３７

データのばらつき具合を示す指標はどれか。

1. 平均値
2. p 値
3. 中央値
4. 最頻値
5. 標準偏差

問３８

犬のうっ血性左心不全の徴候として最も適当なのはどれか。

1. 肺水腫
2. 胸水貯留
3. 腹水貯留
4. 失神
5. 皮下浮腫

問３９

一次止血異常を生じる疾患・病態はどれか。

1. フォンヴィレブランド病
2. フィブリノーゲン欠乏症
3. 反応性血小板増加
4. ワルファリン中毒
5. 血友病

問４０

不足すると牛のグラステタニーを引き起こす物質はどれか。

1. マグネシウム
2. カルシウム
3. 鉄
4. リン
5. 亜鉛

問４１

放射能の単位はどれか。

1. グレイ
2. カーマ
3. シーベルト
4. レントゲン
5. ベクレル

問４２

MRI撮影室および撮影時の注意点に関する記述として誤っているのはどれか。

1. 金属製の酸素ボンベを持ち込んではならない。
2. 撮影時のみ磁場が発生する。
3. 磁気データ消失の危険性がある。
4. 電子機器を誤作動させる可能性がある。
5. 金属インプラントの発熱による熱傷が起こり得る。

問４３

犬で心肺蘇生時に静脈が確保できない場合の薬剤投与経路として最も適当なのはどれか。

1. 気管内
2. 腹腔内
3. 胸腔内
4. 食道内
5. 心腔内

問４４

腸管で最も強い縫合糸支持力を有する層はどれか。

1. 粘膜固有層
2. 粘膜下組織
3. アウエルバッハ神経叢
4. 筋層
5. 漿膜

問４５

野良猫に関する記述として誤っているのはどれか。

1. 野良猫とは人間の生活に依存するが飼い主のいない猫である。
2. 屋外飼育の猫は野良猫に由来する感染症に罹患するリスクがある。
3. 保護した野良猫の譲渡は行政機関を介して行う必要がある。
4. 地域の理解のもとに住人等複数で野良猫を管理することを地域猫活動という。
5. TNRとは Trap、Neuter、Returnの頭文字をとったもので野良猫を捕獲し、不妊手術をして同じ場所に戻す活動が一般的である。

問４６

メッツェンバウム剪刀の用途として最も適当なのはどれか。

1. 縫合糸の切断
2. 白線の切開
3. 粘膜の切除
4. 皮膚の切開
5. 腱の切断

問４７

発情期にライトニングがみられる動物はどれか。

1. 牛
2. 馬
3. 豚
4. 犬
5. 猫

問４８

犬の妊娠期間として最も適切なのはどれか。

1. 33 日
2. 63 日
3. 114 日
4. 150 
日
5. 180 日

問４９

マウスの妊娠期間として最も適切なのはどれか。

1. 18 ～ 20 日
2. 30 ～ 31 日
3. 59 ～ 72 日
4. 85 ～ 90 日
5. 112 ～ 118 日

問５０

真骨魚類のみに特有な内分泌腺はどれか。

1. 鰓後腺
2. スタニウス小体
3. 副甲状腺
4. 松果体
5. 膵臓ランゲルハンス島

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【獣医師国家試験】76回 Ａ問題

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2025.08.15