73回 A問題 問79
難易度:易
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆☆☆
過剰排卵誘起処置には一般的に FSH が用いられる。
そうそう!正解です。
卵胞を発育に必要なホルモンは、下垂体前葉から分泌される「LH」「FSH」です。お互いの協力関係があって排卵まで至るため作用は重複しますが、特にLHは卵胞を育て排卵させるための、FSHは卵胞の数を増やす為のホルモンと覚えると良いです。
重要度:☆☆☆
FSHは1回投与で過剰排卵の誘起が可能である。
昔は、複数回投与が当たり前だったようですが、単回投与でも同程度の過剰排卵を誘起できるらしいです。
重要度:☆☆☆
発情発現当日に子宮灌流により胚を採取するのは不可能
牛の場合、発情開始から平均28時間(ほぼ1日)後に「排卵」に至ります。さらに、胚は受精・発生したものをいうので、意味のわからない選択肢です。
重要度:☆☆☆
受胚牛の黄体側とは反対側の子宮角に胚を移植すると受胎率が高くなる。
黄体側の子宮角に胚移植(ET:Embryo Transfer)してください。
人工授精(AI:Artificial Insemination)
体外受精(IVF:In Vitro Fertilization)
重要度:☆☆☆
移植胚の日齢と受胚牛の発情後日数が異なると受胎率が低下する。
ドナーの牛と、レシピエントの牛の発情後日数がほぼ同じになるように胚移植します。
移植胚の日数って、いやらしい言い方ですよね。。。
解説
授精の適期は?
卵子の受精能を持っている時間、
精子の受精能を持っている時間、
さらには精子が授精能を獲得するのに要する時間が関わってきます。
授精の確率を上げるためには、
卵子と精子の受精能保有時間が重なるほど確率は上がります。
さらに、精子は子宮内で受精能を獲得するのに時間(およそ8時間)がかかるのです。
以上を考えると、排卵する前に「人工授精」を行う必要があるんです!!!
じゃぁどうやって、いつ排卵するかどうかを判断すると思います??それはですね、、、「発情兆候」を発見することで判断します。発情中の牛からは、たくさんの情報が得られます。
発情兆候はどんなの?
生殖器の異変
行動の異変
その他の異変
スタンディングは、乗駕されることを許容しているイメージをもつと覚えられます。上記のように発情中でしか得られない重要な所見です。
実際に何時間後に人工授精を行うのかは、畜産屋さんの腕の見せどころです。個体によっても違いがあるし、発情発見するのにも観察力が重要ですからね。学生の僕にはそんな技術はないので、覚えませんでした。
現在では、「発情の同期化・定時人工授精」技術があるのでそこまで苦労はしないだろうと思います。
「胚移植(ET:Embryo Transfer)」に至るまでの工程の1つが、「過剰排卵処置」です。流れとしては、過剰に排卵させる→人工授精し複数の胚を生み出す→子宮灌流により胚の回収をする→複数のレシピエント牛へ胚を移植する。
この技術により、たった一匹のドナー牛から、複数の牛を妊娠させることが可能になりました。ほんとにすげぇよなぁ!!!!
この胚移植は、かなり単価の高い技術です。僕の聞いた話では一回4万円で移植されるようです。
数回胚移植するなんて1日で終わります。過剰排卵処置で胚が6個ゲットできたら、1日の売上が24万です。技術勝負で経費がかからないことを考えると、ヤバいです。