71回 A問題 問68
難易度:易
選択肢を吟味しよう!
重要度:☆
ALT
逸脱酵素です。
重要度:☆
AST
逸脱酵素です。
重要度:☆
CK
重要度:☆☆☆
GGT
重要度:☆☆☆
ALP
解説
肝臓へのダメージを客観的に定量化するために血液検査で肝酵素を測定します。その、いわゆる肝酵素には大きく「誘導酵素」と「逸脱酵素」に分けることができます。
誘導酵素とは?
誘導酵素とは、胆汁のうっ滞による刺激により合成が亢進される酵素です。
有名なのは
「GGT(γ−GT)」
「ALP(アルカリホスファターゼ)」です。
「GGT」「ALP」の上昇は、基本的には肝・胆道系疾患を疑います。
しかしながら、、、「ALP」で大事なのは、その上昇が「成長期」だったり、犬では「クッシング症候群」猫では「肝リピドーシス」「甲状腺機能亢進症」でも起こりうるということです。
逸脱酵素とは?
逸脱酵素とは細胞内の酵素で、細胞障害や壊死により血管内に漏れ出てしまう酵素をいいます。有名なのは、「ALT」「AST」です。
「ALT」「AST」の上昇は、基本的に肝疾患を疑います。
肝疾患に特異性が高いのは、「ALT」です。一方で「AST」は肝臓・筋肉に多く分布しているため、心疾患や骨格筋障害でも上昇する可能性があります。
とはいえ、様々な疾患により二次的に肝酵素の上昇が起こることも重要です。肝臓だけにとらわれずに注意してください。
どうしてステロイドを使用すると肝酵素が上昇するの?
結論:ステロイドの使用により、肝細胞は空胞変性を起こし細胞質が拡大していきます。すると肝細胞と肝細胞の間に存在する胆管が圧迫を受け(誘導酵素の上昇)、また隣り合う細胞同士が圧迫をうける(逸脱酵素の上昇)ため肝数値が上昇します。
中毒のときは、肝数値はどうなる?
結論:とんでもなく上昇する。
肝数値の上昇があると鑑別にあがる中毒ですが、中毒の際はALPが10,000〜100,000とか信じられないくらい上昇します。一応参考までに。。。
肝機能=肝酵素の上昇???
否!否!全く別物!
上記の「逸脱酵素」「誘導酵素」はあくまで肝臓へのダメージを定量化したものであるため、どの程度肝臓が機能を落としているかの指標ではありません。
それじゃぁ何の数字で肝臓の機能を評価するかというと、「NH3(アンモニア)」「TBA(総胆汁酸)」「ALB(アルブミン)」「GLU(グルコース)」「BUN(尿素窒素)」「T-Cho(コレステロール)」です。以上のようにさまざまです。
要するに肝酵素が上がっただけで、「肝臓の機能不全がありますね!」とは決して言えません。上記の数値に変動があって初めて疑えるのが肝不全です。